22.沼のような優越感の中で ページ24
…
不思議と、痛みは消えていた。
穏やかな水面のように、私の気持ちは凪いでいた。
手元に視線を巡らせると、黄金に輝く杖のようなものを握っている。
それが私の手の中にあるのが、まるで当たり前のように、それは確かに存在していた。
優越感がある。
ずっと浸っていられるくらいの優越感に満たされている。
なんて心地がいいんだろう。
私はその杖…"天照"に視線を向けて、それから目の前の呪霊に視線をやる。
相変わらず気味悪く笑っていた。
それでも、さっきのような不快感はない。
ただただ哀れだと思った。
天照を使ったことはない。
使えたこともない。
それなのに、私は使い方を知っているような気がした。
『
そう口にし、とんっと軽く杖をつく。
ついた杖の先端を中心に、光の波紋が地面をつたって広がり、四方八方を占めていた呪霊たちが一気に霧散する。
あとに残ったのは私の目の前の一匹だけ。
これが本体か。
日本人形の呪霊は、顔に貼り付けていた薄ら笑いをやめ、焦ったように顔を歪ませている。
いい気味。
『幼い子供を殺したんだ。お前が死んで償え。』
私がそう発したと被せるように、呪霊が奇声をあげて、目の前を多い尽くすほどの毬や簪を投げてくる。
その全てが私をめがけて飛んでくる
が、
『
また杖が地面を軽くつく。
それだけで杖から光の衝撃波が生まれ、それらの全て吹き飛ばし、無意味にする。
少し、瞑目し、スッとまぶたをあげる。
ああ、本当に心地よい。
今これだけをずっと感じていたいくらい。
波打つ光の波紋にもう一度杖で衝撃を与える。
『
より一層強さを増した波紋が、呪霊を呑み込む。
霧散する。全てが黄金の粒子になって、舞った。
生得領域が閉じ、私はもともといた廃墟に戻っていた。
『やった、倒し_________』
大きな達成感を感じ、胸の前でガッツポーズをしようとした瞬間、ぐらりと視界が揺らぐ。
気がつくと、視界は横になっていて、すぐそこに地面が見える。
倒れた。
そう察した瞬間に、消えていた痛みがぶり返してくる。
どくどくと血が流れているのが見えた。
ああ、死__________
暗転。
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おかず - その言葉がもらえるだけでとても幸せです😌最後まで読んでいただきありがとうございました! (2022年8月18日 12時) (レス) id: f2234a2195 (このIDを非表示/違反報告)
夜月陽詩(プロフ) - 面白かったです! (2022年8月17日 21時) (レス) @page46 id: 78f9c276ca (このIDを非表示/違反報告)
おかず - ありがとうございます!更新頑張ります!引き続き小学生五条をお楽しみください(笑) (2022年8月8日 16時) (レス) id: f2234a2195 (このIDを非表示/違反報告)
夜月陽詩(プロフ) - この作品が大好きです!五条さんが小学生みたいなことやってるのが特に好きです。更新頑張ってください!続き読ませてください!お願いします! (2022年8月7日 23時) (レス) @page30 id: 78f9c276ca (このIDを非表示/違反報告)
おかず - ありがとうございますm(_ _)mそう言っていただけると嬉しいです! (2022年7月29日 19時) (レス) id: f2234a2195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おかず | 作成日時:2022年6月17日 22時