88 ページ38
.
翌日の朝、先生と一緒に家を出た。
特にお互いに話すことも無く、無言で歩く私たち。
気まずいというよりは、これからどこに向かうのか、何をするのかが気になって。
「え……ここですか……？」
BH「うん。」
着いたのは墓地だった。
BH「ずっと気になってたよな。
ウナ先生のこと、それから……ハナのこと。」
ハナ─。
その名前を口にしたベッキョン先生の瞳はとても優しい。
何となく察した。
そのまま歩き続ける先生の後ろを着いて行く。
ある場所で先生は足を止めた。
BH「今日、ハナの命日なんだ。」
「……え。」
ドクン、と心臓が波打つ。
お墓に目を向けるベッキョン先生は一切私を見ずに続けた。
BH「ウナ先生はハナのお姉さん。あの日は墓参りに来て、その帰りだった。それをお前は見たわけね。」
「そうだったんですね…。」
BH「ウナ先生は命日の今日は予定があったからあの日に来たみたいで、俺も命日の今日来る予定はなかった。あの日は偶然ウナ先生とここで会っただけ。
…これは信じてもらえる？」
「…信じます。」
ありがとう、とベッキョン先生は言った。
お墓の前に腰を下ろした先生はゆっくりとハナさんのことを語った。
BH「前、卒業アルバムを見た時に道着姿の俺と女の人が写ってる写真あっただろ？」
「はい。」
BH「俺の隣にいた人が、ハナだよ。」
あの写真を思い出す。……とても、とても綺麗な人だった。
BH「彼女はとても強い人だった。
だけど、高校3年のちょうど今日、亡くなった。
……自ら死を選んだ。」
「っ……」
それはつまり……。
BH「合気道の同好会はハナが立ち上げたんだ。
俺は2年の途中から入った。俺とハナだけだった。
大会にも出て、割と良い成績残してた。
特にハナは全国で優勝するくらい。」
「…。」
お墓を眺めて、ベッキョン先生は小さく息を吐いた。
BH「最初は不思議で堪らなかった。なんで彼女がそんな選択をしたのか。そういうことを考えるような人じゃなかった。明るくて、いつも笑顔で…合気道が大好きで。
でも、あとから知った。
いじめられてたんだって。」
「っ…」
BH「クラス全員から無視されてて、学校も見て見ぬ振りをしていた。
俺は…多分あいつの唯一の友達だったのに……気付けなかったんだ。」
苦しそうに言葉を紡ぐベッキョン先生がとても小さく見えた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 268人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやテテ(プロフ) - あみいさん» 嬉しいです♥これから多分甘々ベクちゃん続きです！ (2022年2月14日 20時) (
レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あみい - ううう…(;_;)好きです😭💕 (2022年2月14日 9時) (レス) @page7 id: 67815b3f14 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - みさきちさん» twitterのフォローありがとうございます！ベクちゃんも女の子ちゃんも2年間頑張りました💮これからは甘々な2人が続くと思うので楽しんで貰えますように…。こちらこそ慣れないベクちゃんのお話を読んで頂いてありがとうございます！コメントも嬉しかったです🥰 (2022年2月13日 18時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
みさきち(プロフ) - こんばんは！Twitterでもフォローさせてもらってる者です 。最初は胸がギューって切なくて結ばれないの？ってヤキモキしてたんですけど、2年越しに…二人はキャー♪(/ω＼*)この続き楽しみにしております！ベクちゃん主人公のお話を書いてくれてありがとうございます♪ (2022年2月13日 0時) (レス) @page3 id: 0359ed2e63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2022年2月12日 22時
