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リツ「アヤ。」
「…リツさん。」
ジュノが目を覚ましたと聞き、病院に向かったアヤ。
入口でリツと鉢合わせた。
「ジュノさん、目を覚ましたって…。」
リツ「らしいな。行くか。」
「うん。」
少しだけ緊張しつつ彼の病室へ向かった。
リツ「…ジュノ。」
中に入れば、ジュノがぼうっとした様子で窓の外を眺めていた。
その瞳には色がない。
「っ…」
ジュノ「アヤ、リツ。」
リツ「体調は?」
ジュノ「悪いよ。」
リツ「…大丈夫か。」
ジュノ「大丈夫じゃない。」
そう言いながら笑顔を見せるジュノ。
貼り付けられたその笑顔に怖くなる。
また、どこかへ行ってしまいそうだったから。
ジュノ「何で助かったんだろうな。」
「っ、」
リツ「っ…おい、」
ジュノ「アヤ。」
「っ、」
怖い。何も映してないジュノの瞳がアヤを捕らえる。
ジュノ「嘘つき。」
「…、」
ジュノ「お前も俺を置いてくんだな。」
「…っ、」
ジュノ「言ったよな、初めて会ったあの日。」
「ジュノさ…」
ジュノ「2人で生きようと。
何があっても支え合って生きようと。」
「ごめんなさいっ…」
胸が痛む。
ジュノ「裏切り者。」
「っ…」
初めてジュノに会ったあの日のことは今でも覚えている。
ボロボロになっていたアヤに手を伸ばしてくれた。
でもアヤはもう。
「ジュノさん…私っ、」
ジュノ「またやるから。」
「っ、」
ジュノ「ちゃんと死に切れるまで。お前が戻ってこないなら、何度だってする。
今回みたいにな。」
「やめてっ…」
ジュノ「その度に罪悪感でいっぱいになれば良い。」
「ジュノさんっ、」
ジュノ「お前が戻ってくるのと、俺が死ぬの。
どっちが先だろうな。」
「やめてよっ…」
涙を流すアヤを満足気に眺めるジュノに、リツは言葉を失う。
───こんなの、ジュノじゃない。
リツ「ジュノ、」
彼の名前を呼んだとき、ちょうど病室のドアが開いた。
視線をそちらに動かしたリツは、目を見開く。
リツ「…代表、」
SMの代表がやってきたから。
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あやテテ(プロフ) - あみいさん» こちらでもコメントありがとうございます!嬉しいです。セフン氏を男前に書けていたなら良かったです!ステージ上のクールなセフンさん大好きなのでそれを想像して書きました!気に入って頂けたなら安心です!ありがとうございました! (2021年7月27日 14時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あみい - 先日?もコメントさせて頂きましたが…すみません!当方、セフン大好きなので、愛に囚われてのセフン、かっこよすぎて泣きました。あやテテさんが書くセフン男前すぎて、大好きです…涙 (2021年7月24日 21時) (レス) id: 694d192305 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやテテ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時:2021年7月14日 15時