186 ページ36
ーチャニョルー
「あの場所ならっ…出口はっ、」
もう良い。
もう投げ出しても許される。
ちゃんとやりきった。
あれ以降1回もミスをしなかった。
責められるとしたら、アヤを見つけてから、君だけを見つめながら歌ってしまったこと。
行かないで。
間に合って。
リツ先輩はあの日に俺に言った。
見つけろ、と。
でもそれだけじゃない。
引き止めろとも言った。
見つけるだけじゃダメなんだ。
きっと君は行ってしまうから。
走って走って君を探す。
光の下へ出たその時。
「アヤっ……!」
ようやく、君を見つけた。
俺の言葉は絶対に聞こえているはずなのにこちらを向かない君。
早歩きで出口に向かうアヤを見失わないように必死に追いかけた。
「アヤっ、…行かないでっ、待って…!」
絶対に見失わない。
「っ…、アヤってば…!」
何とか追い付いて君の腕を取る。
アヤ「お願いっ…離してっ、」
「離さない。」
アヤ「チャニョルくんっ…!」
「言ったよね?俺。
───もう君の手を離せない。」
アヤと目が合ったそのとき、たくさんの人の声が近付く。
…まずい、ファンが来る。
アヤ「チャニョルくんっ、人が来るからっ…、」
「うん、そうだね。」
アヤ「チャニョルくんっ…、」
「こっち来て。」
関係者以外立ち入り禁止の裏側へアヤを引っ張る。
離してと言う彼女は涙をぼろぼろ零して。
それでも俺は絶対に手を離さない。
スタッフはステージに出払っているのか、ここには誰もいない。
少し薄暗いけれど、十分顔は見える。
「アヤっ…」
もう、我慢できない。
彼女をきつく抱き締める。
アヤ「チャニョル君っ……私っ、行かないとっ、」
「どこに…?」
アヤ「っ…行かないといけないのっ…!」
「どこに行くって言うの?
アヤの場所は俺の隣しかないのに。」
アヤ「っ…、」
「好きだよ。大好き。」
アヤ「お願いっ…離してっ、」
「やだ。」
離して、と繰り返す君。
決して離さないように抱き締めていたそのとき。
『…あの、チャニョルさん…?』
少し気まずそうなスタッフさんの声がした。
.
89人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやテテ(プロフ) - あみいさん» こちらでもコメントありがとうございます!嬉しいです。セフン氏を男前に書けていたなら良かったです!ステージ上のクールなセフンさん大好きなのでそれを想像して書きました!気に入って頂けたなら安心です!ありがとうございました! (2021年7月27日 14時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あみい - 先日?もコメントさせて頂きましたが…すみません!当方、セフン大好きなので、愛に囚われてのセフン、かっこよすぎて泣きました。あやテテさんが書くセフン男前すぎて、大好きです…涙 (2021年7月24日 21時) (レス) id: 694d192305 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あやテテ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時:2021年7月14日 15時