175 ＊ ページ25
＊
「もしもし…。」
《ジュノの状態がだいぶ安定した。》
「…良かった…。」
《出国日までジュノに会わないつもりか。》
リツの言葉にアヤは口を閉じる。
「…。」
《アヤ、》
「出国日には必ずあなた達の元に行く。
でも今は…一緒にいたい人がいる。」
《…分かった。》
「ありがとう。」
電話越しのジュノからの返答に頭を下げる。
《最後にEXOのコンサート行くぞ。》
「…えっ、」
《出国日に。》
「い…行かない…。」
アヤは慌てて首を横に振る。
そんな姿を見てしまえば、離れるのが苦しくなる。
泣いてしまう。
《決定事項だよ。お前に拒否権はない。》
「いやっ…」
《言ったよな、俺。逃げるなって。》
「っ、」
《そうやって背を向けるから後悔するんだよ。》
「…、」
リツの言葉が胸に刺さる。
そんなことはわかってる。
でも、それでも…。
《最後に見てやれよ。
あいつらのステージはかっこ良いから。》
「っ…、」
リツがここまで他人を褒めるのは珍しい。
誰かを貶したりすることは無いけれど、褒めることだってない。
いつも真顔で…ポーカーフェイスで、ただじっと見つめるだけ。
「…わかった。」
《…当日、お前の荷物全部まとめてそっち行くから。
当日まで来なくて良い。》
「…うん。」
《アヤ、》
リツの綺麗な声が耳に入り、アヤは静かに言葉を待った。
《……逃げても良いよ。》
「…っ、」
息を飲む。
いつだったか、彼はそう言った。
それが許されないと分かっていながら。
《……俺たちが絶対に見つけられない場所になら。》
「…できないよっ…」
《うん、知ってる。》
「…酷いね、リツさん。」
《アヤ。》
「…なに？」
《ごめんな。》
「…っ、」
プツリと切れた電話。
言い様のない不安に襲われた。
CY「アヤ？」
はっと振り向けばそこにはチャニョルがいた。
心配そうにこちらを伺う姿に胸が締め付けられる。
「チャニョル君。」
CY「…どうした？」
「ううん、何でもない。」
チャニョルの体に腕を回したアヤ。
そんな彼女を彼は何も言わずに抱き締め返した。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやテテ(プロフ) - あみいさん» こちらでもコメントありがとうございます！嬉しいです。セフン氏を男前に書けていたなら良かったです！ステージ上のクールなセフンさん大好きなのでそれを想像して書きました！気に入って頂けたなら安心です！ありがとうございました！ (2021年7月27日 14時) (
レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あみい - 先日？もコメントさせて頂きましたが…すみません！当方、セフン大好きなので、愛に囚われてのセフン、かっこよすぎて泣きました。あやテテさんが書くセフン男前すぎて、大好きです…涙 (2021年7月24日 21時) (レス) id: 694d192305 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年7月14日 15時
