147 ページ47
ｰチャニョルｰ
至近距離で俺を見つめるアヤの瞳が少し揺れる。
涙で濡れた頬を撫でたいけれど、腕を上げるのも今は億劫だ。
だから代わりに、こつんとそのままおでこをくっつける。
「こんな不細工な顔で伝える予定はなかったんだけど。」
アヤ「不細工じゃ、ないよ。」
「そう？ならいいや。」
中学生の俺が、初めて気付いた感情。
クリスマスイブの前夜。
1人で君を待って、待って、待ち焦がれて。
結局あの冬に置いてきてしまった言葉を。
今、君に伝えたいと思う。
「アヤ、好きだ。」
そのまま顔を近付けて唇を奪う。
何度も角度を変えて重ねて、くっついては離れて。
引き寄せられないもどかしさ。
「もっと、近づいて。」
アヤ「っ…、」
一歩歩み寄ったアヤ。
「もっと。」
再び足を踏み出したアヤは距離感を掴めずにバランスを崩し、俺の耳の横に手をつく。
「…積極的だね。」
アヤ「…ちがっ、」
やっと口を開けてくれた。
そのまま舌を滑り込ませるとアヤは苦しそうに眉を下げる。
「もう二度と…1人にしない。」
アヤ「っ…、」
ぽたりと、君の涙が俺の顔に落ちる。
アヤの手がゆっくりと俺の手を包み込む。
唇を離せば、彼女は泣きながら俺を抱き締めた。
「アヤ…？」
アヤ「…好き。」
「っ、」
耳元で小さく囁かれたその言葉。
一瞬にして心を持っていかれる。
アヤ「ごめんねってたくさん言ったけど…、言わなくちゃいけないことをまだ、言えてない。」
「ん？」
アヤ「いつもいつも…っ、守ってくれてありがとうっ…、」
耳元で響くアヤの声が震えている。
アヤ「チャニョル君…、ありがとうっ…、」
ゆっくり、ゆっくり。
腕を持ち上げる。
細い腰に腕を回すと、アヤは小さく息を吸って俺に言ったんだ。
アヤ「…チャニョル君…のっ…そばにっ…ずっといたいっ…」
涙を流したまま言う君が、愛おしくてしょうがない。
好きで、大好きで。
この人のためならきっと俺はなんでもできるだろう。
「俺も、ずっとそばにいたい。」
心と心が繋がった。
そんな気がしていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 94人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年6月18日 23時
