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訪れた沈黙をチャニョルが破る。
アヤを抱き締めていた力を緩め、少し楽な体勢をとる。
CY「アヤ、聞いて欲しいことがある。」
投げかけられた言葉にアヤは返事をしない。
それでもチャニョルは静かに言葉を紡いだ。
CY「中学生の時、初めてアヤが教室に入った瞬間ふわって風が吹いた。
君は最初から、俺の中で特別だった。」
「…、」
CY「みんなが変な曲だって言う海外バンドをアヤが流していると知った時は衝撃を受けたんだ。
曲の好みが俺と似ている人がいることに。」
「…うん、」
CY「放課後、君に声をかけてよかった。」
確かあれは教室がオレンジ色の夕焼けに照らされていた時間帯だったな、とチャニョルは思い出す。
CY「最初の一言は…」
"好きな曲を教えてよ"
たった、それだけ。
でも、チャニョルにとって、アヤにとって。
それは運命の歯車が回り始めた瞬間だった。
"え！俺も一緒！じゃあ好きなバンドは…"
怖いくらい似通った趣味、好きなこと、もの。
お互いに夢中になるのに、時間はかからなかった。
CY「クリスマスイブの前日。」
「っ…、」
CY「俺は…女の子に呼び出されていた。
告白されて、当たり前みたいに振って。
それでおしまい。
あのスタジオに向かおうとした。
けどその子が言ったんだ。」
"あの人のことが好きなんですか？"
"あの人？"
"イムアヤさん"
CY「アヤとの関係は誰にも知られていないと思ってたから驚いた。」
"やめた方が良いですよ"
"あの人の家、やばいので"
チャニョルは別に、その子のことを信じたわけではなかった。
何か複雑な家庭環境であることは知っていたけれど、それでも。
理解に時間がかかって、頭を整理したかった。
CY「それで、遅れた。
そしたら君は、消えてしまった。」
つきんと心臓が痛む。
CY「遅れた理由はそれだけじゃない。
頭を冷やして、整理して。
ひとつの答えが出た。」
「…、」
そこまで言うと、チャニョルはむくりと起き上がった。
慌ててアヤがそれを支えると、そのままぐっと引き寄せられる。
数ミリの距離感で見つめ合うこと数秒。
CY「俺はあの夜、アヤに伝えたいことがあった。」
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年6月18日 23時
