愛に囚われて Ⅲ (ページ41)

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ｰチャニョルｰ

『ありがとうございました〜。』

コンビニの店員の少し気の抜けた声を背に宿舎に戻る。

「アヤはどっちが良いかな〜。」

ぽつんと1つ、暗闇の中独り言を零したその時。

ドンッ──

「っ、…！」

後ろから強く背中を押され、バランスを崩す。

何だ、サセンか？

少し擦りむいた膝を気にする余裕もなく上を見上げると。

「っ…ジュノせんぱ…、」

ｼﾞｭﾉ「教えてやろうか。」

「っ…くるしっ…」

ぐっと首元を捕まれ、呼吸が出来なくなる。

限界が近付いた瞬間、彼は俺から少し離れる。

「ゴホッゴホッ…、」

急に入ってきた酸素にむせていると、冷たい瞳で俺を見下ろすジュノ先輩と目が合い、背筋が凍る。

ドンッ──

「っ…」

頬に鈍い痛みを感じて、殴られたのだと気づく。

ｼﾞｭﾉ「教えてやるよ、お前の知らないアヤのこと。」

「っ…、やめ…ろっ…、」

ｼﾞｭﾉ「口の利き方がなってねぇな。

俺が誰だか分かってんのか。」

「…先輩ならっ…うっ、…先輩らしく…、しろっ…」

ｼﾞｭﾉ「はっ、まあいいよ。最初からこうすれば良かったんだな。」

「っ、」

ドスッ──

「っ…うっ…、」

重い痛みが腹を直撃する。

なんで、こんなに人を傷つけることに何も抵抗がないんだ。

激しい痛みの中、そんなことをぼんやりと考える。

ｼﾞｭﾉ「アヤが一番感じるところ、教えてやろうか。」

「っ…！」

俺のそばで小さく笑いながら囁くジュノ先輩は、もちろんアイドルとは思えない。

先輩の一言に意識がはっきりする。

ｼﾞｭﾉ「耳の裏とか、へその上とか撫でたり舐めたりしてやったらアンアン鳴くぞ。」

「っ……やめろっ…」

聞きたくもないことを無理矢理耳の中に入れられる。

何かがパリン、パリン、と1つずつ壊れていく。

ｼﾞｭﾉ「あとなあ、…入れたときは気を付けろよ。」

「やめっ…」

悔しくて、屈辱的で。

ｼﾞｭﾉ「何回やってもキツくて、一瞬でいきそうになる。」

「やめてっ…くださっ…、」

ｼﾞｭﾉ「そうそう、そうやって泣くんだよ。

助けて、やめて、って。」

「っ…」

ｼﾞｭﾉ「可愛いだろ？」

どこかでプツリと音がして。

俺の中の何かが壊れた。

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