愛に囚われて Ⅲ (ページ22)

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「…ジュノさんっ、」

彼の元に急いでかけよれば、ジュノは呆然とした様子でソファーに座っていた。

力のないその瞳に怖くなる。

ｼﾞｭﾉ「…アヤが悪いんだ。」

ぽそりと呟いたジュノの瞳は何も写していない。

まるで感情を失ったかのように表情ひとつ変えないジュノ。

「ジュノさん、」

ｼﾞｭﾉ「お前が俺の傍から離れるから。」

「ごめんなさいっ…」

こっちを向いて欲しかった。

笑えなんて言わないから、優しくしてだなんて言わないから。

怒りでも憎しみでもぶつけてくれないと、人間味がなくて怖い。

ｼﾞｭﾉ「…俺がどうなっても良いの？」

「良くないっ、」

ｼﾞｭﾉ「じゃあなんで離れるの？」

「ごめんなさいっ…」

やはり表情を変えないジュノにアヤは堪らず。

弱々しく彼を抱き締めた。

「もうっ…離れないからっ…、」

ちらりと目に入ったのは大量の睡眠薬。

おぞましいその量に背筋が凍る。

ｼﾞｭﾉ「離れない…？」

「うん…。」

少し力を強めてジュノを抱き締める。

ｼﾞｭﾉ「約束…。」

「…うん、」

指を絡ませると、ジュノはにっこりと笑う。

その笑顔はとても綺麗なのに、アヤは何故か恐怖を感じた。

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その日から、アヤの生活はがらりと変わった。

毎日ジュノの監視の元に置かれ、出かけることも自由にできず、一日のほとんどを家の中で過ごした。

夜になり、ジュノが帰ってくると無理矢理ベッドに連れられ、彼の機嫌が悪いときは一晩中離して貰えなかった。

ドンッ─

「っ、痛いよっ…」

ｼﾞｭﾉ「アヤ、どこ行ってたの？」

「どこって…買い物に、」

ｼﾞｭﾉ「なんでこんなに遅くなるの？

誰かと会ってたの？」

「会ってないよ、人が多くて…」

ｼﾞｭﾉ「チャニョルと会ってるんじゃないの？」

「会ってないよっ…うっ、やめっ…てっ、」

ジュノは一度疑ってしまったらもうダメだった。

ｼﾞｭﾉ「アヤ、俺のだから…」

「うん、分かってるから…離して…」

もう、自分が泣いてるのかそうでないのか。

それすら分からなかった。

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