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『来週からリツはフランスだから。』
RT「…はい。」
マネージャーの言葉にアヤは固まる。
「それ…いつまでですか？」
『半年くらいだと思う。ま、一時帰国はあるから全く会えない訳では無いけど。』
何でもないふうに言われて背筋が凍る。
リツが半年もいないということは、その間アヤはジュノと2人きり。
そしてもしジュノがアヤに何かをしても止める人はいない。
RT「アヤ、」
「行かないで…、」
RT「っ、」
『何だ〜甘えたさんか〜？最近リツは海外の仕事多いもんな。』
RT「ちょっとあっち行っててください。」
『ハイハイ。』
ただ、怖かった。
ジュノと2人で半年間も過ごしていたら
「私…しんどいよっ、」
RT「…っ、ちゃんと、」
リツも心配ではあった。
最近EXOと仕事を始めてから、ジュノは今まで以上にアヤを拘束するようになったから。
リツが宥めても効かないことすらあった。
RT「ちゃんと、ジュノには言っておくから。」
「っ…」
言って解決するならこんなことにはなっていない。
それは、アヤもリツも気付いていた。
RT「それにジュノも来週から3ヶ月映画の撮影だろ？
忙しくて会う暇ないんじゃない？」
そんな言葉を信じてはいけないことは分かっていた。
リツも、なんて無責任なんだと自分に呆れる。
でも、2人ともわかっている。
今ここで何を話したってリツはフランスに行かなければならないし、アヤはジュノと過ごさなければならない。
RT「すぐに帰ってくるから。
だから…泣くな。」
零れる涙にリツは戸惑う。
こんな風に心から必死に自分に助けを求めるアヤを、彼は見たことがなかったから。
そして。
もしかしたらこのとき、フランスに行くのを何がなんでもやめておけば良かったのかもしれない。
そう思う未来が来ることも知らずに。
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年5月29日 6時
