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SE「あ、ヒョン？アヤさんちょっとだけ体調悪いみたいなので様子みますね。そんな酷くはないらしいんで10分で戻ります。休憩延長するか先進めといてください。」
アヤの手首を握って先をずんずん歩くセフンの口からつらつらとこぼれ落ちる嘘の数々。
戸惑うアヤにお構いなく。
セフンは電話越しのお兄さんに言葉を続ける。
SE「あーはいはいそうですけど…いや、目立つんで来ないでください。10分以内には戻るんで大人しくしててくださいね。すれ違いとかなったらめんどくさいので。」
プツリと電話を切ったセフンは少しアヤの方を向いて、またふにゃりと笑った。
SE「ここです。入ってください。」
「ここは…？」
案内された部屋の中に入ればメイク室内のような場所が広がっていた。
SE「メイクさんが練習したり、あとアイドルがたまに使うメイクルームです。
えーっと、…この辺かな。うん、これこれ。」
ずらりと並べられたメイク道具の中から何かを取り出した彼はアヤを手招きする。
SE「ここ座ってください。」
「…はい。」
大きな鏡の前に座らされ、鏡越しにセフンと目が合う。
SE「失礼します。」
少し俯くアヤの髪を持ち上げて、首筋を見つめるセフン。
固まっているアヤに小さく笑って指を首筋へと伸ばす。
「っ、…」
SE「くすぐったい？」
「いえ…」
SE「コンシーラー。これで目立たなくなりますよ。
…うん、上出来。」
最後にアヤの髪を軽く整えたセフン。
再び鏡越しに目が合う。
パチリと合った視線。
その瞳に捉えられたセフン。
ドクンと心臓が波打つ。
SE「っ…、」
鏡で見てみれば、確かに目立たなくなった。
これなら安心だとセフンにお礼を言った。
「…ありがとうございます。」
SE「どういたしまして。
さて、戻りますか。」
部屋に戻ればメンバー皆に心配されたけれど、そのままなんとか仕事ができた。
右隣で静かに話し合いに加わっているセフンの存在が、今のアヤにとってはとても安心できるものだった。
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年5月29日 6時
