77 ＊ ページ27
＊
「…っ、なんでこんな所でっ…、」
ｼﾞｭﾉ「…別に。したくなっただけ。」
いつ誰が通るかも分からないこの場所で、あろうことか彼はアヤにキスをした。
噛み付くような、そんな勢いで。
ｼﾞｭﾉ「行くぞ。」
「…。」
強く腕を握られ、その痛みにはとうに慣れていた。
家に着くと、ジュノは荷解きを始め、アヤは何をするでもなくぼうっとソファーに座っていた。
ｼﾞｭﾉ「これ、お土産。」
「ありがとう。…開けても良い？」
ｼﾞｭﾉ「うん。」
箱を開ければ、中には綺麗なネックレスが入っていた。
見たことないくらい美しく光を放つ小ぶりの宝石に目を見開いた。
ｼﾞｭﾉ「宝石自体は小さいけど、本物。
貸して、着けるから。」
言われたままにネックレスを手渡す。
鏡の前に移動し、アヤの後ろに立ったジュノは優しい手つきでネックレスを彼女に着けた。
ｼﾞｭﾉ「これ、俺のっていう印だから。
お前がどこにも行かないように。
絶対外すなよ。」
「っ…うん。」
そのまま後ろからぎゅっと抱きしめられて、鏡に映る自分とジュノを見つめる。
(宝石なんか、似合わないな…。)
ｼﾞｭﾉ「お前は俺のだから。」
「…うん。」
ｼﾞｭﾉ「誰にも渡さない。」
「…。」
ぽつりと彼が呟いたとき。
ブブッ─……
また、アヤのスマホが鳴る。
ｼﾞｭﾉ「…しつこい男だな。」
冷たく言い放ったジュノはアヤのスマホを取り出す。
誰からなにが送られてきたのか、アヤからは確認することができず、ただ、ジュノの反応を待った。
ｼﾞｭﾉ「………アヤさぁ、」
長い沈黙の後、何も写していない真っ黒な瞳がこちらを向く。
ｼﾞｭﾉ「本当にお前って嘘つきだよな。」
ドンッ─…
アヤ「痛っ…」
ダンッ─…
「うっ…ジュノさっ…」
ｼﾞｭﾉ「俺、嘘つきは嫌いなんだよなぁ。」
「やめっ…あ"ぁっ…！」
ｼﾞｭﾉ「ねぇ、何回言わせんの？」
「っ…ジュノさっ…」
ｼﾞｭﾉ「お前は俺のなんだよっ…！！」
「痛っ…やめっ…、」
ガンッ─…
ドンッ─…
"今日はやめとこっか"
"これ、この前の写真"
"また皆でご飯食べよう"
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 90人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年5月29日 6時
