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ｰセフンｰ
アヤ「…今は、家に帰る途中だよ。」
走って追いかければ近くの公園のベンチで電話をしている小さな背中を見つけた。
家に帰る途中…ね。
アヤさん隣に腰を下ろせば、電話をしながら彼女はこれでもかと目を見開く。
その顔が何だか面白くて笑ってしまった。
アヤ「あ…ううん、何でもないよ。」
何で？と聞きたそうな彼女に、続けてと合図を出す。
俺はベッキョニヒョンみたいなヘマはしないから大丈夫。
アヤ「っ…うん、約束…守ってるよ。」
「…。」
優しげな声が聞こえたかと思えば、怯えたような声を出すアヤさん。
アヤ「うん…ジュノさんも…うん、ばいばい。」
「………終わりました？」
アヤ「…はい。」
しばらく沈黙が続く。
「…約束って、何ですか。」
聞こうかどうか迷った。
…迷ったけどやっぱり聞いてしまった。
アヤ「大したことではないですよ。」
「…。」
彼女をじっと見つめれば、観念したように口を開いた。
アヤ「…EXOと、」
「……俺ら？」
アヤ「EXOと必要以上に関わらない、触れ合わない。
ジュノさんと約束したんです。」
「っ…」
アヤ「他の方には内緒にしてくださいね。」
「…約束、破ってますね。
というか…
俺たちが破らせてますよね。」
アヤ「…良いんです。
だって今日、すごく楽しかったから。」
「…ほんとですか？」
俺にはそうは思えなかった。
彼女は始終、何かに怯えているように見えたから。
アヤ「あんな風に沢山の人とご飯を食べる機会はこれまでなかったので。
すごく、楽しかったです。」
「…それなら良かったです。」
はい、と微笑んだアヤさんがあまりにも儚くて。
思わず手を伸ばす。
ひたりと頬に触れると、彼女は僅かに硬直した。
アヤ「せ、セフンさん…」
ごめんなさい、チャニョリヒョン。
多分俺は。
「また、約束破ちゃいましたね。」
アヤ「っ…」
本気で好きになってしまった。
近付いたのは劣等感から。
でも、今はもう。
さすがにそんな気持ちだけじゃ収拾がつかない。
「…帰りますか。」
彼女の頬に触れた指先が熱されたように熱くなった。
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作者名：あやテテ
| 作成日時：2021年5月29日 6時
