04 YOUTH ページ4
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「あれ、今日は部活ないの?」
『えっと…部活は6時30分までなので…』
「そっか。」
『あの…』
「ん?」
『本を…探していて。』
「あ、そこの検索機使ったら良いよ。」
『あ…はい。』
素直に検索機の前に立ち、長らく画面をぽちぽちしていた彼は、目当ての本を見つけたらしく本棚から1冊の本を手に取り、私にお願いします、と一言。
「図書カードありますか?」
『…忘れました。』
「そっか。学年…は、そのネクタイの色なら1年生だよね?
あと名前を教えてくれるかな。」
『…チョン…ジョングク…です。』
「チョン…ジョングク…あった、これかな。」
パソコンに彼の名前を入力して本のバーコードを読み取る。
「返却期限は来週の金曜日までです。」
JK「…ありがとうございます。」
本に貼ってある期限記入欄にぽんと日付印を押して手渡す。
「…えっと、まだ何か?」
JK「あの…」
「?」
JK「…来週も、来ます!」
「えっ、」
それだけ残してぴやーと図書室出て行ったサッカー少年。
…いや、ジョングク君、だっけ。
「どういう宣言?」
不思議な少年だな、と思いながら時計を見るとちょうど19時。
いけないいけない。テテちゃんとジミン君を待たせてる。
パソコンの電源を落として鍵を閉めて。
職員室に鍵を返して教室に戻った。
「あ、本当にいる。」
TH「当たり前よーん。」
JM「委員会お疲れ様。」
「ありがとう、帰ろうか。」
TH「帰ろー。」
3人で並んで歩く帰り道。
1人で永遠にしゃべり続けるテテちゃんとそれに相槌、ツッコミを入れるジミン君。
私はこれと言って何か話すわけではないんだけど。
この時間がたまらなく好きだったりもするわけで。
けど、今日は。頭にぽんと浮かんだ例のあの人。
「あ、今日ね面白いサッカー少年が図書室にやってきたよ。」
TH「何それ!気になる!」
JM「サッカー少年?」
来週も来ると彼は言ってくれたけど。
本当に来るのだろうか。
…いや、返却期限的には来ないとだよね。
勝手にペラペラと喋りだしたテテちゃんの話を聞いていると、再び思い浮かんだサッカー少年。
目がキラキラくりくりしてて、どこかうさぎみたいで。
名前は、チョンジョングク君。
これが、あなたとの出会いだった。
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作者名:あやテテ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時:2021年10月3日 0時