13 -親友の優しさ編- ページ13
-テヒョン-
高校三年の夏に、アヤがサッカーの試合を見に行かないかと誘ってきた。
大してスポーツに興味のないはずの彼女がそんなことを言うから俺とジミンはとにかく驚いて、言われたそのときは2人して顔を見合わせた。
理由を深く聞いたけど決して教えてくれないから俺たちが自分で探るしかなかった。
サッカー試合当日。
見慣れたうちの学校のユニフォームに身を包むサッカー部。
その中でも一人、女子から黄色い歓声を浴びている少年がいた。
『ジョングク君すっごくかっこいい〜!!』
『可愛いしかっこいいって感じ!』
『しかも一年で唯一スタメンなんでしょ?!』
『何それ好き〜!』
『あ、見て!こっち見た!』
それがお前だったね、ジョングク。
俺たちが座ってる応援席を一度見た彼、ジョングク君は優し気な笑顔をこちらに向けてきた。
何て言うか、すごく嬉しそうで…とにかく爽やかな、そんな笑顔。
俺はそのとき、彼が誰を見てるのか、なんでそんなに嬉しそうなのか全然分かんなかったし、分かろうともしなかった。俺は忘れていたんだ、春にアヤが一度だけ話題にしたことがあるサッカー少年の話を。
「すごいね、うちの高校こんな強かったんだ。」
JM「もとから強豪校って有名だよ。知らなかった?」
「あ〜…なんかベッキョニヒョンに聞いたことあったかも。」
JM「ベッキョニヒョン…?」
「あ、俺のヌナの友達!」
試合が始まってしばらくするとうちの高校が得点を決めた。
得点を決めたのはジョングク君ではなかったけれど、ゴールを入れた選手にパスを出したのはジョングク君だった。
アヤ「すごい…。」
「ほんとうに。」
ただ、空いてチームもかなり強かったようで後半に入ってすぐに点を取られてしまった。
これで同点。さあどうなるんだろうと試合を見守ること数分。
『きゃー!ジョングク君凄いよ!見てみて!』
『やばい、足速すぎ…!!』
女の子たちの興奮した声にハッとすれば、ジョングク君が一人でボールをけってゴールまで走る。
相手チームが何とか彼からボールを奪おうとするけれど、それを華麗によけていくその姿は何とも見事だった。
「あ…。」
アヤ「…すごっ…。」
ゴールの斜め右から。
綺麗なフォームでボールを蹴っ飛ばすジョングク君。
ジョングク君のもとを離れたボールは真っすぐにゴールへ向かい。
そのまま吸い込まれていった。
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作者名:あやテテ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時:2021年10月3日 0時