63 TH ページ13
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"名前は？"
"きむ、てひょん…"
"家は？"
"…なくなった"
"じゃあ…俺んとこ来る？"
"いいの…？"
"いいよ"
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ふと目を開けると知らない天井があった。どこのホテルだろうかと記憶をたどって気付く。
そうだ、昨日の夜は…。
「…」
アヤ「あ、おはよう…」
ベッドから少し離れた場所で緊張気味に俺に声をかけたその女は既に着替えを済ませて何やら手持ち無沙汰な様子だった。俺が起きるのを待っていたのだろうか。
アヤ「あの…」
「なに」
アヤ「…嫌な夢でも見た？」
「……なんで」
アヤ「苦しそうな顔、してたから…」
言いにくそうに目を逸らす。
嫌な夢、間違ってはない。もう何年も前の、俺が全てを失った夜のことだ。
「…今何時」
アヤ「あ、えっと…朝の、9時」
「あんた、…学生だっけ？時間いいの」
アヤ「えっと、…今日は午後からだから」
「あっそ」
そういうものか。
俺は大学に行くなんて考えたこともないから、未知の世界だ。
テーブルの上に置いてあるプライベート用のスマホと財布が目に入った。
スマホを確認するとベッキョニヒョンから一件だけ不在着信があった。
気が向いたらかけ直そうとスマホを閉じる。
「じゃ、帰る」
アヤ「あっ……うん、」
財布からお札をいくらか取り出してテーブルに置くとその人は目を見開いた。
アヤ「え、あの…いらない…よ、」
「じゃあ他に望みは？」
アヤ「え…？」
そこまで話してふと思い出した。
”テヒョンくんは何もくれなくていいよ”
「あぁ。見返りはいらないんだっけ」
アヤ「…うん、でも…あの、」
「なに」
アヤ「どこに、行ったら…会える？」
「……は？」
アヤ「お店には、もう行けない…から。でも、テヒョンくんには会いたくて…あの、会うためのお金、ちゃんと払うから……たまに、会いたい…。」
「…」
馬鹿な女だと思った。
でも。
「……金はいらないから」
アヤ「え…？」
「だから、たまに……この部屋に泊まらせて」
この部屋とここの雰囲気は嫌いじゃない。
この提案は気まぐれで、正直自分自身がこの言葉を明日以降覚えている自信はない。
けど、少なくとも今はそう思った。
我ながらクズだよな、と心の中で笑う。
彼女を見ると、目を見開いて、そして…幸せそうに笑った。
アヤ「うん、あの…いつでも来て」
しばらく、その笑顔が頭から離れなくて。
二日酔いだろうかと考えることを放棄した。
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あやテテ(プロフ) - 玲さん» こちらこそ引き続き読んで下さり嬉しいです！テテペンとしましては最上級の誉め言葉です、、恐縮です…。嬉しいお言葉ありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします！ (3月23日 19時) (
レス) id: df40273254 (このIDを非表示/違反報告)
玲(プロフ) - また更新してくれて嬉しいです。あやテテさんの描くテヒョン、本当に素敵だなぁと思います。いつも楽しみにしてます。 (3月22日 21時) (レス) id: 268f4047d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2024年3月17日 16時
