珈琲と砂糖とミルク。 ページ41
薄いベール。
化粧を施した顔。
真っ白な ... ウエディングドレスに身を包み、柔らかい日差しの降り注ぐ窓の外を見詰めていた。
来る、結婚式。
ふわふわと夢見心地で、きゅっ、と自分の指を絡める。
何だか、気恥しい。隣に居る平次もそれは同様のようで、緊張しているように見えた。
それに笑が零れて、思わず声が漏れた。
「 何、笑うとんねん ... 」
む、としながらこちらを見てくる表情、態度でさえ愛おしくて。
「 ううん、何でもない。嘘みたいやなーって。」
眉を下げながら微笑む。それよりも、ドレスに変じゃない?ちゃんと、出来てるよね?なんて。
「 おー ... 。よー似合っとるわ、流石、俺の嫁さん、やな?」
頬を緩めて呟いた相手に、少し頬に熱が集中したのに気が付いた。
そーゆー、さらって言える所。
... 心臓に、悪い。
それでも満更じゃなくて。
それじゃ、行こ。と歩き出す。
最高の日に、したいから。
長年の片想いがようやく実を結んだ。これまで、色々あったけど、嬉しかった。
ゆっくりと皆が集まる場所へ。
わぁっ、と歓声が上がれば、照れてしまう。
「 (名前)、めっちゃ綺麗やん ... 流石、そら平次もめろめろやわ。」
「 服部、お前、(名前)の事、泣かせんなよ?」
「 泣かせるわけないやろ、大切なお嫁さんやで?」
そんな声が飛び交って、嬉しさと恥ずかしさが入り混じって、はにかむ。
祝福してくれるのが嬉しくて。
... まぁでも、この後の誓いの言葉と、指輪、キス、は凄く恥ずかしいんだけど。
淡々と式は進んで 。
己の薬指には、指輪。
相手の整った顔がゆっくりと近付く。
それだけで鼓動が早まって、煩く鳴り響く。
...ゆっくり目を伏せた。
唇に触れた感覚。
目を開いて、相手を見つめる。
ふっ、とはにかんだのを見て、こちらも微笑んで。
幸せだった。
その後、式は順調に進んだ。
「 和葉、写真撮ろう?」
と手招きする。駆け寄ってきてくれたのに笑が浮かんで。
「 え、ほんまにいいん?... ほんま、綺麗やわ。おめでとう。」
そう言われれば笑みを浮かべて、ありがとう、なんて。
「 和葉も、お幸せにな?」
くす、と笑を浮かべれば、わたわたと慌てるのが面白くて。
和葉は、クラスメイトの彼と、結婚するそうで。
あの時の私なら、考えられなかったんだろうな、と。
それでも、幸せだった。
ほろ苦い恋は終わって、甘く幸せな日々が、幕を開けた。
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作者名:あやせ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home
作成日時:2017年8月5日 1時