砂糖にじゅうななこめ。 ページ32
「 はー、めっっちゃ楽しかったわ ！」
にこにこと笑いながら、そう呟く。
楽しさの余韻に浸りながら、夜道を歩いて行く。
「 楽しんでもらえたなら、良かったわ。また行こーな ？ 」
にっ。と笑みを浮かべたのにこちらも笑みを浮かべ、頷く。
あの後、本当に遊園地の乗り物を制覇した。
超絶楽しかった。やばい。
はぁ、と息を吐きながら、伸びをする。
街灯が並んで、道を明るく照らす。
夜は暗いし、怖いし、比較的苦手だけど、明るい街灯があるだけで大分それも和らぐ。
「 でも、送ってもらって、悪いわ ... ありがとう。」
「 はぁ？そんなもん、とーぜん、やろ？こんな暗い夜道、女の子1人で歩かせる訳ないやん。」
な？と肩を竦めるのに、ほんま、ありがとう、と再度告げる。
やさしー、なんて笑いながら、歩いて行く。
でも、段々と沈黙が続く。
「 なぁ ？ 」
ぽつん、と呟いた相手にふっ、と顔を上げて、何ー？と首をかしげてそちらを見る。
「 (名前)が、誰の事を好きなっても、告白しても、選んでも。俺は、怒らへんから、自分の気持ちに嘘ついて、無理したらあかんで？」
そんなんで付きおうても、俺は嬉しないし、(名前)も、しんどいやろ？と笑みを浮かべて眉を下げる。
それに、きゅ、と心臓が締め付けられた気がした。
「 ありがとう ... ごめん。はよ、はっきりせなあかんのにな ... 」
俯いて、視線を落とす。
「 はよ、せんでもええわ。ゆっくりでええねん。その気持ちが嘘やないって、分かるまで。」
な？とこちらを見て目を細める姿は、無理をしているように見えて。
なにも、答えられなくて、俯いた顔を上げることなんか出来へんくて。
せこいって、卑怯やって分かってる。
いい加減、逃げんと決めらなあかん。
金輪際、関わらへんとか、そんな建前無しに。
言わん事には、変わらへん。
今、出来ることは今のうちに。
出来る時間は、今しかない。
こくん、と頷いて、手を振り、家に入る。
...もう、ずっと決まってる。
何年越しかの、恋に、終わりを。
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作者名：あやせ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/home
作成日時：2017年8月5日 1時
