砂糖じゅうきゅうこめ。 ページ23
昨日、決心した、ばかりだった。
そして、今画面に表示される、話そう、という文字。
集合場所も時間もいつも通りだった。
今日、言ってみせる。
それで、当たって、砕ければええ。
やるだけの事は、やるんや。
ぐっ、と携帯を握って立ち上がり、家を出てカフェに向かう。
いける、今日は、違う。昨日、あんだけ決心したんやから。
そうやって、強がるのとは裏腹に、少し怖かった。
でも、大丈夫や、いける。と自分に言い聞かせて歩いていく。
からん、と扉を開けて、何時もの席に座る。
まだ、来てない。それに安堵の息を吐きながら、心の準備。
ばくばくと、心臓の音がうるさい。
からん、という音にはっとして顔を上げると、平次が居た。
よっ、と手を挙げたのを見て手を振り。
「 悪いなー、急に。この後、デートやねんけど、ちぃとまた相談があってな... 」
ほら、(名前)も、彼氏出来たやろ?やから、もっといっぱい話せると思ってなぁ?
と言う相手に、唖然としてしまった。
好き、と言う他の人に抱く感情を共感出来るとして、らしい。
そこからは、私が話す暇もなく、以前よりも沢山の惚気と相談事。
...私が付き合う前には聞いたことのなかったことまで、まぁつらつらと並べられる。
それに呆然としながら話を聞いていた。
聞いていたというより、実際は聞くのも拒んで左から右に流しているだけだったけど。
さっきまでの決心はがらがらと音を立てて崩れた。
何も言えなくなって、黙り込む。
同時に溢れてきた、どろどろとした気持ち悪い感情。
あかん、止めろ、言うたら、おしまいやって。
そう必死に言い聞かせながら、眉を寄せて黙る。
それをお構い無しに話していく平次に、待っても言えなくて、唯、締め付けられて痛む心を抑えるだけで。
溢れた感情は、喉元まで上り詰めて、少しでも気を緩めてしまえば、思ってること全てを吐き出してしまいそうだった。
抑えろ、昨日、決心したやろ、なぁ。
もう、仲良くできへんくなるかもしれへんやろ。
落ち着け。
そう考えていても、それを否定するように、
「 別にもう、ええやろ?惚気ばっかり聞いて、しんどいやろ ... ? 」
そんな声が聞こえた気がした。
その言葉に、ぷつ、と我慢していた何かが切れる感覚。
「 なぁ 」
気がついた時には、口を開いてしまっていた。
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作者名:あやせ | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/home
作成日時:2017年8月5日 1時