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「和田さ〜ん、さちさ〜ん」
語尾にハートがつきそうなほどの上機嫌で俺のところへ来るA。和田さんとの会話を一時中断してAの方を見る。
ここまでチーム、リーグ問わずに色々な選手に話しかけているらしい。Aの交友関係の広さとコミュニケーション能力の高さは時々羨ましくも感じる。
「…お取り込み中でしたか?」
申し訳なさそうに首を傾げるA。気にしすぎな性格は相変わらずみたいだ。この性格がAの長所でもあるんだろうけど。
「大丈夫だよ。どうしたの?」
にこり、と笑ってそう言った和田さんにAは安心したように胸を撫で下ろした。そして困ったように眉根を下げ頬を掻いた。
「要件は特になくて…お二人がいたのでつい話しかけちゃいました。ごめんなさい」
「謝らなくていいよ、ね?」
「はい」
Aの可愛らしさに二人で目を見合わせて笑う。不思議そうにきょとん、とするAの頭を和田さんがわしゃわしゃと撫でた。
照れくさそうに笑ったAには先ほどまでのたどたどしさはなく、いつもの元気さを取り戻していた。
「和田さんと福也さん今日試合出ますか?」
「うん」
「出るね」
和田さんと俺がそう言うや否やAの目がキラキラと輝き出しやる気に満ち溢れた表情になった。
野球の話になると子供っぽさが増すAは本当に野球が好きなんだと思う。
前に宮城に「なんでそんな練習できるんすか?」と聞かれたときに「趣味!!楽しいもん!」と答えたときのAの楽しそうな顔と宮城の引いた顔は忘れられない。
野球バカと言われると怒るAだけど、言われても仕方がない部分が多い。
「打ちます、ホームラン!!」
「お、言うねぇ」
「言ったな?」
高々と手を上げて宣言したA。そんな事を言われると俄然燃えてくる。
これから始まる試合が更に楽しみになった瞬間だった。
ーー
メリークリスマスでした!!
次の話は設定が自己満過ぎて分かりにくいかもしれませんが、個人的に好きな設定なので分からなかった際はフィーリングで楽しんでください!
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作者名:カブ | 作成日時:2023年12月17日 0時