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ミーティングも終わって選手たちはグラウンドに出る。それぞれが好きなようにストレッチ等をする中で、俺にはどうしても会いたい人がいた。

辺りを見渡すと目的の人物を発見。場所も考えず一直線に走り出す。



「ギータさーーん!!!」



ちょうど一人で歩いていたギータさんの名前を叫ぶ。両手を広げて向かっていくとギータさんも両手を広げて、俺を受け止める構えをとった。

ジャンプして勢いよくギータさんの胸へと飛び込む。



「久しぶりやの……って泣いてる?」



数カ月ぶりのギータさんのあたたかさは安心する。自覚はなかったけれどギータさん不足だったみたいで自然と涙が溢れる。

背中を優しくさするギータさんに甘えて暫く体重を預け抱きついていた。





涙も引っ込んだ頃、対面でストレッチをしながらギータさんは真面目な顔で口を開いた。



「俺らはもっと頻繁に会うべきかもしれん」


「……たしかに」



俺は知らず知らずの間にギータさん不足に陥っていた。ギータさんも俺と同じようにA不足に陥っている、と話した。



「Aはさ、何日会わんかったら泣く?」



ギータさんからの質問に頭を悩ます。今は前にあったときから5ヶ月くらい経っていて、泣いてしまった。WBCの時はオフ以来だから1ヶ月も経ってなかったと思う。あの時は泣いてなかった…ってことは。



「1ヶ月以上?」


「じゃあ、1ヶ月に一回は会おうや」


「いいんですか!?」



思わず伏せていた体をガバリと起こす。その勢いがあまりにも良かったからか、ギータさんは少し驚いていた。



「オフとか使えばまあ…いけるじゃろ」


「やったぁー!」



喜びのあまり必要以上に声が出てしまう。すると後ろからクスクスと笑い声が聞こえる。

振り向くとホークスの広報の和子さんがいた。撮られてたらしい。



「相変わらず仲良いね」



にこりと笑う和子さんに少し照れくさくなる。和子さんは俺が苦手意識なく話せる数少ない女性の一人。

最初はぎこちなかったけど、今では仲良しである。



「Aちゃんから見てギータはどんな存在?」


「おにいちゃん!」


「ギータは?」


「おとうと」



当たり前、とでも言うかのように自信満々に答えたギータさん。嬉しくなってギータさんに飛びついた。



「お兄ちゃん好き!」


「なんか新鮮」



抱きつく俺と、俺を受け止めて頭を撫でるギータさんを和子さんはお母さんみたいに優しい目で見守っていた。


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作者名:カブ | 作成日時:2023年12月17日 0時

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