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｢大山さーん！お久しぶりです｣
｢久しぶり。元気してた？｣
俺はグラウンドの中央で固まっていた阪神の選手たちの中にいた大山さんに声をかけられる。
いつも優しい大山さんとの馴れ初めを思い返す。確か一昨年の開幕戦で道に迷ってたときにチカさんと一緒に助けて下さったのが大山さんだった。
｢元気です！｣
｢近本が怪我で出んから泣いてたって聞いたけど｣
｢っ、だれからですか！？！？｣
｢…湯浅｣
多少ためらう素振りを見せたあと、出てきたのは京己の名前。これは絶対大勢から情報が漏れたに違いない。大勢の口の軽さは俺の友だちの中でナンバーワンである。
余計なことを言ってくれた大勢にどう仕返ししようかと復讐の炎を燃やす俺。大山さんは話を逸らすかのように苦笑しつつ口や開いた。
｢写真撮らない？｣
｢もちろんです！けど珍しいですね、大山さんが写真撮ろうだなんて｣
｢近本に自慢しようかな、って思って｣
そう言っていたずらに微笑む大山さん。茶目っ気あふれるその表情は悪さを企む子どもみたいだった。
俺は大山さんの大人になっても子供心を持ち続けているところが好きだった。
｢いいですね！自慢しましょ自慢！｣
大山さんと二人で自撮りをする。大山さんがスマホを持って内カメラで。両者ともこういった自分で写真を撮る行為に慣れていないからか、手間取ってしまったけど、おかげで満足のいくいい写真が撮れた。
その後大山さんと雑談していたら、テルさんが阪神の広報さんとともに俺たちの元へやってきた。
｢テルさん！！どうしました？｣
｢広報用に写真撮らへん？｣
｢撮りたいです！！大山さん、拓夢さん、頌樹さんも一緒に撮りませんか？｣
｢おれらも？｣
少し驚いたように聞く拓夢さんに満面の笑みで肯定の言葉を返す。
｢はい！みんなで撮りましょー！！｣
みなさんに押されるままに真ん中に陣取る。テルさんが俺の肩に腕を乗せて頭に顎を置いた。一見俺の負担が重そうに見えるけどテルさんが全く体重をかけていない上、身長差もあるのでテルさんの方が負担が重いと思う。
そんなことを考えていると広報さんから｢撮りますよー｣と快活な声が聞こえる。カメラの方に笑顔を向けピースもしておいた。
俺を含め5人での写真撮影は驚くほどスムーズに終わった。
｢ありがとうございました！｣
広報さんに明るくお礼を言う。皆さんと話せて、写真まで撮れて大満足なのでそろそろお暇しよう。
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作者名：カブ | 作成日時：2023年12月17日 0時
