12 柳葉とオールスター2日目 ページ12
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俺のオールスター2日目も翔征と球場入りするところから始まった。
昨日と同じようにグラウンドでストレッチをする選手たち。
俺は誰かと話しながらやりたかったので、辺りを見渡すとコンさんとラオウさんの何とも面白そうなコンビがインタビューを受けていた。しかもインタビューしてるのは俺が仲の良いオリックスの広報、仁藤さん。
……これは、行くしかないな。
多少駆け足で近づくと、お互いの印象について話している様子。いい感じで会話が区切れたところで、仁藤さんの後ろから顔を出す。
｢にとーさん、ぼくの印象も聞いてくださいよ！｣
｢うぉ、｣
｢びっくりした｣
驚いている仁藤さんとラオウさん。コンさんは気づいていたようでいつものように、にこにこしていた。
コンさんに促されて、コンさんとラオウさんの間に座る。期待の眼差しで仁藤さんを見つめると仁藤さんは二人に僕の印象を聞いてくれた。
｢ラオウ、A選手の印象はどうですか？｣
｢Aはー、えぐいす。とにかくヒットメーカー…みたいな｣
｢近藤選手はどうですか？｣
｢ぼくー…もそうですね。よく打つなーと思ってます｣
言葉に詰まるし、ふんわりとしたことしか言わない二人に段々悲しくなってくる。俺のこと好きじゃないのか、なんてめんどくさい彼女みたいなことを考え出してしまう。
｢……かえります｣と言って立とうすると、窘められてまた座りなおす。
拗ねた俺は頬を少し膨らませながら二人の次の言葉を待つ。ちょっとやそっとでは機嫌は良くならないぞ、と強い意志を掲げる。
｢Aは技術が凄い。全部安打にしてる｣
｢Aって絶対ホームに返してくれるので同じチームの選手が羨ましいですね｣
｢凄い打つもんね｣
仁藤さんの言葉にうんうん、と頷く二人。さすがにそこまで褒められると嬉しくなるというもの。
｢へへ、そうですかね｣
｢おま、かわいいな〜！｣
わしゃわしゃと雑にラオウさんが俺の頭を撫でる。
事ある毎に頭を撫でられる俺だからかもしれないけど、撫で方って人柄が出ると思う。ラオウさんの撫で方は近所の兄ちゃんみたいな親しみやすいガサツさがある。
コンさんはふわっとした撫で方をする。コンさんの撫で方は繊細というには雑で、けれど荒いというには優しい。
そんなことを考えながらコンさんを見ているとコンさんは何かを感じ取ったのか、にこにこ顔で俺の頭を柔らかく撫でた。
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作者名：カブ | 作成日時：2023年12月17日 0時
