僕と相方と後輩 ページ44
.side叶
昼下がり、ぼーっとスマホの画面に映る小さな男の子を見つめながら背もたれに体重をかける。
叶「…はぁ…。まじかぁ…。」
ため息をついて、僕は彼の配信画面を閉じた。ライバーとしての後輩であり、音楽の先輩である靂ちゃんがＳＯＳを出している。
でも僕にはあの幼い靂ちゃんの居場所も、本当に彼なのかも、知る術がない。哀れみでも悲しみでも怒りでもない無機質な感情だけが脳裏に溜まっていく。
♪〜♪〜
叶「…くず？珍しくない？こんな時間に」
葛「寝れねぇんだよ。お前も同じらしいじゃん」
叶「あぁ、サブ垢のツイート見たんだｗ」
葛「んー、気晴らしでも行かねぇ？盈月ちゃんも誘って」
叶「……やっぱ葛葉には全部お見通しなんだな〜。」
葛「なんだそれｗ相方の勘ナメんな」
実は少し、いやかなり本人に会うのは躊躇いがあったけど直接話したほうが何か情報が得られるかもしれないと思うとすぐに身体が行動を起こしていた。
葛葉からの通話を切り、靂ちゃんに施設に行くと連絡を入れた。
葛「…つか珍しいね？ｗ叶がこーゆーのに感情的になってんの」
叶「やめてよ僕がサイコパスみたいな」
葛「あながち正解だろｗｗ………んぁ、着いた。」
これまでも３人でオフで遊ぶことは度々あったけど靂ちゃんの暮らしてる施設に来たのはまだ数回だけだった。インターホンを押してほんの少し緊張しながら人が来るのを待つ。
ｶﾞﾁｬ
黛「はい、どなたですか…………って葛葉さんと叶さんじゃん」
叶「あ、まゆゆ久しぶりー」
葛「おー、黛居たんだぁ！あいついつも通り？」
黛「うん。むしろいつも以上に元気有り余ってるよ。」
葛「ならまぁ、連れ去っても大丈夫か〜！」
黛「え、何。葛葉さんとはいえ弟誘拐されるのは困るんだけど」
『灰にぃー誰だったー?…あ、こらこら！おんぶにしよ？な？』
「やった〜！レキ兄のおんぶ〜♪」
「あ、ずる！次僕だし！」
黛「今お客さん来てるから挨拶しようね。靂、くろのわの２人が用みたいだよ」
『あ、叶くん葛葉くん、もう来てたんすね！遊び行きますか〜！！』
「「こんにちは！！！」」
叶「ふふｗｗこんにちは〜。靂ちゃん人気者だねぇｗ」
葛「ｯｽｰｰ…こんちゃ〜…す」
『にひひｗそうですかー？兄貴ごめん、この子たち任せてもいい？』
黛「うん。滅多にないし楽しんでおいで。」
『感謝〜！んじゃ、行きましょ〜！』
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作者名：小春川シノ | 作成日時：2022年8月1日 17時
