ゆうえんち【ぼくのえにっき】 (ページ31)

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真実ページ31

女性。もしかして、彼の母親だろうか？

緊張から喉の奥に声が詰まる。

しかし、こちらが話しかける前に、女性が先にこちらに振り向いた。

｢あら...？あなたは...｣

けして、若いとは言えない顔だち。

恐らく、40～50歳くらいだろう。

彼女は目を丸くして、Aを見つめたまま固まっている。

Aは意を決して、彼女に問いかけた。

彼の、母親なのかと。

その問いに、彼女は少し遅れて首を横に振った。

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｢私は、あの子...リュウタ君の＿＿＿＿
クラスメイトだった者の母です｣

立ち話もあれだからと彼女に促され、彼女の車の助手席に座わらされたAの耳に届いたのはその発言だった。

親でもなく、ましてや教師でもなく、クラスメイトの母親など、ほぼ無関係に等しい人物だ。

そう告げると、彼女はその首を再び横に振った。

｢そうでもないんです...
うちの息子が、彼の虐めの主犯だったんですから。

いくら幼い子がやった事とはいえ、私はそれに責任を感じているんです。

それが分かったのは、彼の死後。

×××...私の息子が、友達と話しているのを聞いてしまったんです。

貧乏人が消えたって、嬉しそうに。

どうしてか、分からないんですけど、私はその時からずっと、息子が息子に見えないんです。

...本当に、あの子は可哀想な子。

『可哀相』だなんて、無慈悲な言葉ですけど、それしか言いようがないんです。

あの子の両親は子育てなんてしなかった。

なのに、遊園地の関係者が料金を負担した彼の葬式に現れて、あろうことか悲しそうに嘘泣きまでして...

それから、遊園地からの慰謝料で今は金に困らない生活をしていると聞きます。

しかも、それだけありながら、彼の墓は無いんです。

だから、私は毎年、この遊園地に花を添えているんです。

虐めの記録は、都合が悪いとして学校側が金で解決しました。

虐待も同様です。

彼の両親は、涙で同情を誘って警察をうまく誤魔化しました。

また、学校側も彼が虐待を受けていた事を知っている事が警察に知られたら、面倒なことになると、こちらも証拠を隠滅したんですよ。

だから、ニュースなんかで報道されてないんです。

それに、こんな昔の事件、週刊誌なんかに言っても、気に止めもしないでしょう。

...だから、私には花を添えることしかできないんです｣