自分≠母 ページ15
やつはまだ村にいる。一週間もいるのだ。
いい加減諦めてくれ。
女将さんの宿に泊まっているデブは、料理や部屋にいちいち文句をつけては、何かと当たっていた。
村長の言葉を無視して、孫娘には必要以上に触れて、女将さんには怒鳴り散らしていた。
思わず殴り飛ばしたくなったが、すんでのところで女将さんに止められ、それはかなわなかった。
そして、八日目の深夜。
デブはいきなり従者を連れずに一人で俺の店にやって来た。
店には誰もいない。いつもなら孫娘がいたが、今は父の仕事の手伝いに行っていた。
やつは店の奥にづかづかと入っていくと、アトリエのドアを乱暴に開けた。
本当にいきなりの事で俺は思わず手で顔を隠すもやつに見られてしまった。
六年も経っているし...
なんていくはずなかった。
やつは、一瞬驚いた顔をして...
それから勝ち誇ったようにあの笑顔になった。
｢顔も出さないとんだ失礼な人形師かと思えば...お前だったのか｣
俺はあまりの事にうまく動けなくて、ただ後退りするだけだった。
やがて、下がれるだけ下がった俺は作業机にぶつかり、後がないことを知った。
｢ハハハ...
いやぁ、綺麗になったじゃないか。
声が低くなって、男らしくなって...
男娼だったらさぞ高値で買われただろうな｣
｢＿＿＿＿っ！！｣
伸ばされる手。
太く肥えたあの指にかつて俺は成す術なく、襲われた。
服に掴んできた手を思わず掴んだ。
けれども、恐怖から力が入らなくて、やすやすと上着のボタンが外された。
｢おお...美しい...女に引けをとらん体だ｣
汗ばんだ大きな手に体を這われる感覚。
突起部分を指で潰されると、あられもない声が出て、思わず口を押さえた。
惨めさから、噛み締めた唇に力が入って血が出た。現実が見たくなくて、強く目をつぶった。
｢ハハハ！やはりお前は！売り物なのだ！
こんな破廉恥な事されて喜びおって！
流石、あの女の息子だ｣
＿＿＿＿＿＿何だと？
俺が、かあさ...あの女と同じだと？
自分の中の何かが、それを強く否定して、
そして、弾けた。
気がつけば俺は、乱雑に物が散らかった机に手を伸ばしていた。
そして、あるものを手に取り、それをデブの心臓めがけて、刺した。
また、自分が赤くなっていくのを感じた。
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手ふぇち - 待っっっって・・・めっちゃ好き！！！ヤンデレサイコパス最高！！！！！！ (2021年9月19日 20時) (
レス) id: e31fa55851 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - ルヴァンネさん» ルヴァンネさん自身も忙しいですものね。無理せず、これからも続けてくださると私的には幸せです。返信どうもありがとうございました！ (2018年10月27日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァンネ(プロフ) - ましろさん» いいえ。人形師自体はまだ続きます。あと２回３回くらいで完結になるかと思いますが、現在は未定です。 (2018年10月25日 12時) (レス) id: d6627a81ed (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - こんにちは。人形師に魅了され、以前から他作品も楽しく読まさせていただいている者です。質問なのですが、人形師シリーズが完結になっているのは、もう続編は作らないということでしょうか？人形師シリーズが好きすぎる故、気になります。 (2018年10月23日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
通草 - 人形師筆頭の男子のギャグ… 見たい (2018年8月19日 21時) (レス) id: 499fedeecd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルヴァ子 | 作成日時：2018年8月9日 12時
