再会 ページ13
数年。６年くらいだろうか。
その頃には俺も成人していて、人形師としての技量もひけをとらないとさえ言われるようになっていた。
だから、俺の店ができてたりして。
村の皆が作ってくれた。そう言っても過言じゃないくらいだった。
俺は店と女将さんの宿を行き来しつつ、生活していた。
俺が店にいない間は、村長の孫娘がかわりに店番を引き受けてくれた。
...このまま、何もなければいいんだが。
雨が、降り注ぐ夜。
何となく、そう思った。
けれど、それは不幸にも当たってしまって。
俺の店に、あの帝国の貴族が来てしまったのだ。
どうやら、おっさんが宗教都市で売った人形が帝国に流れてしまったらしい。
それで、原産のこっちに来た...と。
でも俺はバレてない様だった。
だから、店番を本格的に村長の孫娘に任せて、俺は裏に引きこもるようになった。
...っ。
頼む。早く帰ってくれ...
でも、彼らはこの人形を作った人形師に会いたいと言った。
俺はフードを深くかぶり、その上にこれでもかと、布を巻いて顔を隠した。
そして、店のカウンターに立った。
｢あぁ...！君が人形師かい？
いやぁお初にお目にかかる｣
生きてたのか。こいつ...
忘れもしない。
俺を一番最初に汚したクソデブ...
何人かの騎士やメイドを連れて彼は見下す様に店を見ていた。
声がくぐもってて、服はぴっちりとしていた。
贅肉を前よりもたっぷりとつけ、暑くもないのに額には汗がかいてあった。
それを従者の若い女性が白いハンカチで拭いている。
中々の美形。どうせ彼女は買われたのだろう。
体も申し分ないのだから。
｢さて...君の人形は素晴らしいね。
帝国で飛ぶように売れ、貴族たちの間ではちょっとした話題となっている...｣
｢はぁ｣
｢私はねぇ、そんな君の腕を買いたいのだが
君...うちに来ないかい？｣
｢...何でですか｣
問わなくても分かっている。
あの下衆びた笑み。
細められた瞳はかつて俺を襲った目と同じだった。
｢それは、君の人形を帝国の者に提供しようと思ってね...
この村の商人では村と宗教都市を行き来きするので精一杯。帝国まで届けられないのだよ。
まぁ、何体か譲り受けた者もいるみたいだがね。
でも、貴族たちは君の人形を欲しがっているのだ｣
｢だから、帝国に来い。と｣
｢そうだ｣
｢お断りだ｣
彼の従者たちの息を飲む音が聞こえた。
そして男の眉がぴくりと動き、顔からはいやらしい笑みが消えていた。
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手ふぇち - 待っっっって・・・めっちゃ好き！！！ヤンデレサイコパス最高！！！！！！ (2021年9月19日 20時) (
レス) id: e31fa55851 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - ルヴァンネさん» ルヴァンネさん自身も忙しいですものね。無理せず、これからも続けてくださると私的には幸せです。返信どうもありがとうございました！ (2018年10月27日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァンネ(プロフ) - ましろさん» いいえ。人形師自体はまだ続きます。あと２回３回くらいで完結になるかと思いますが、現在は未定です。 (2018年10月25日 12時) (レス) id: d6627a81ed (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - こんにちは。人形師に魅了され、以前から他作品も楽しく読まさせていただいている者です。質問なのですが、人形師シリーズが完結になっているのは、もう続編は作らないということでしょうか？人形師シリーズが好きすぎる故、気になります。 (2018年10月23日 20時) (レス) id: 6d01fe97ff (このIDを非表示/違反報告)
通草 - 人形師筆頭の男子のギャグ… 見たい (2018年8月19日 21時) (レス) id: 499fedeecd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルヴァ子 | 作成日時：2018年8月9日 12時
