雪化粧【師走】 ページ3
月光に、まだ感情というものはございません。
彼にそれが宿ったのは、師走の時にございます。
村は、四季によってその顔を変えます。
月光は、それを知りませんでした。
そんな彼に、それを教えたのは、村の子たちでございます。
春に桜を満開に咲かせ、夏は青い木の葉と暑き日を過ごし、秋で葉は紅く染まって散り落ちて、冬には雪化粧をまとって、白に化けること。
彼の手を引いて、子どもたちは雪で一緒に遊んでおりました。
その時、我々はちゃんと見ておりました。
彼の目に、光が灯ったこと。
彼の声が、楽しげであったこと。
初めて、彼が笑っていたこと。
雪は、彼と子どもたちを繋いでくださりました。
馴れない二枚歯の下駄に苦戦しながらも、雪だるまを作っておられました。
手が真っ赤に霜焼けて、これは呪いか、それとも病か、と驚いた事もございました。
夜には自分の九つの尾を、村の者たちが、櫛で整えてあげておりました。
月光にも、櫛が授けられましたが、いつも時間がかかるので、村の──やはり子どもたちが手伝ってあげていたのです。
気づけば、月光のその顔は笑顔で、あの頃の面影はありませんでした。
いやはや、純粋に子どもたちには感謝しておりますよ。あの無邪気さがなければ、月光は感情なきまま、この世に留まる事になってたのですから。
しかし──
その純粋さを、彼もまた受け継いでしまったと思うと──
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リリー(プロフ) - ルヴァンネさん» 返信遅れました...ふ、フロチャでもう一回ですか!?あ、ありがとうございます!楽しみに待ってます! (2019年11月1日 19時) (レス) id: 74e525c1b3 (このIDを非表示/違反報告)
ルヴァンネ(プロフ) - リリーさん» これはあくまでプロローグ扱いなので、貴方様のリクエストはフロチャで再度消化させてください・・・こちらは夢主表現も曖昧なので・・・ (2019年10月20日 20時) (レス) id: c124615dbe (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - わあああああぁぁぁぁありがとうございますうううううぅぅ!!!リクエストお答えしていただいて、ありがとうございました!(*^^*) (2019年10月20日 20時) (レス) id: 74e525c1b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルヴァ子 | 作成日時:2019年10月20日 18時