優しさ ページ41
家に帰ってから、私は夏目と話をした。夏目も以前、的場一門に勧誘されたことがあるらしい。
『本当、顔が広いというか、なんというか。』
「あはは…。俺ももう少し警戒するよ。」
やはりこういう風に話すのはとても楽しくて、ずっと憧れていたものが手に入ったんだなって改めて実感する。
でも、やっぱり人間に対しての警戒心は取れない。
「なあA。手首は本当に大丈夫なのか?だいぶ痛々しかったけど…。」
『大丈夫大丈夫!これくらい、蒼葉の薬であっという間に治るわよ!』
そう言って笑ったら、蒼葉に思いっきりチョップをされた。
そして、それを見て吹き出す颯魔。
『いったぁ…!何すんのよ!』
「あんたねぇ!怪我しすぎなんだよ!嫁入り前の娘がそんな傷つくってんじゃない!」
『何人間みたいなこと言ってんのよ!』
「あら?Aの母親ですけど?」
『いつから母さんになったのかしら?』
なんて口喧嘩を始めたら、より一層颯魔が笑い始め、夏目はオロオロしだし、紫水はあらあらと言って、にこやかに見守る。
今朝までの重い空気は何処へやら。一瞬にしていつもの我が家に戻る。
『いやぁ。ごめんね夏目。』
「いや、いいんだ。俺とニャンコ先生もそんな感じだし。見てて面白かったよ。」
『夏目は本当に優しい奴だ。私好きだよ。夏目のこと。』
そう言って微笑めば、夏目の頬は少しだけ赤くなった気がする。
どうした?熱でもあるのかな。
そんなことを考えていたら、夏目が私の目をしっかりと見つめて、口を開いた。
「A。絶対に無理はしないでくれよ。俺は、お前がいなくなるのが怖い。それに、いつも辛そうなお前は見てられないんだ。」
そう言った後、夏目は微笑み私の頭を撫でた。
そういえば夏目に、私の過去って話したっけ。話した部分と、話してない部分があるな。
また、今度話そう。今はこの幸せを噛み締めたい。優しさに触れていたい。
『夏目。それは夏目にも言えたことよ?同じ見える者どうし、これからも助け合わなきゃね。』
「ああ。そうだな。」
「厄介事は引き込むなよ。夏目。」
『あ、ニャンコ先生七辻屋の饅頭いる?』
「なにぃ?食う食う!!」
前までの生活じゃ有り得なかった幸せ。人間との交流。
この場所は、涼子さんの生きた場所は、私に新しいものと世界を与えてくれる。
この出会いを、大切にしていきたいな。
妖も、人間も。どっちも守れる祓い屋になろう。
そう、心に決めた。
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世界の髪飾り(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!私も映画見てきました!父と母と3人で行きました!普段アニメを見ない母が見てみたいって言ってくれてすごく嬉しかったです!劇場でも夏目友人帳の世界を感じることができて感動しました! (2018年10月10日 20時) (レス) id: d6ecaec723 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - はじめまして!とても読みやすくて雰囲気もとっても好きです!これからも楽しみにしています!これからの更新もお待ちしております! (2018年9月20日 14時) (レス) id: 3cecd56ad6 (このIDを非表示/違反報告)
夏目大好きヤンデレ探偵 - とても続きが気になる (2018年8月17日 22時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 支葵美乃さん» わざわざコメント、ありがとうございます。オリフラ外したと思っていたので、指摘して頂きありがとうございます! (2018年5月24日 15時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
支葵美乃 - 夏目友人帳、大好きなので読んでいてとても楽しかったです!更新、頑張って下さい!!あと、オリフラ外した方が良いと思います…。 (2018年5月24日 15時) (レス) id: 48e064e18b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2018年5月23日 23時