的場さん ページ32
学校から帰ってすぐに着替え、紫水の背に跨り的場さんの依頼があった場所へと移動する。
ふわりと降り立った場所は、古びた屋敷だった。とても大きいけどボロボロで、どこか禍々しい雰囲気が漂っている。
「穂ノ目さん。」
その声に驚き、後ろを振り返ってみれば、そこには不気味な笑みを浮かべた的場さんがいた。
出来れば会いたくなかったのになぁ……。
『どうも的場さん。あなたが出向かなくても良かったんですよ?』
「いや。私から依頼したのですから、これくらいは。それに、私が来た理由はそれだけじゃない。」
……本当、読めないなぁ…この人。
この人の音は、静かだけどどこか怖い音色。だからこそよく分からない。
この人は多分、警戒しなきゃいけない人。それに、妖を簡単に殺したりするし好きじゃない。
「穂ノ目さん。的場一門に入りませんか?」
『いえ。結構です。私は私のやり方がありますので。』
「そのやり方でその妖達も?とても強い妖なのによく」
『家族です。あなたには関係ないでしょう?』
早く片付けて帰りたいのに。この人と話していると、変な感じだ。
この人とは関わってはいけない。そう言われている気がする。
「おい穂ノ目。行くぞ。こいつになんか構ってられん。」
「では穂ノ目さん。よろしくお願いしますね。」
『あ、は、はい。』
にこりと笑い、的場さんは去っていった。
…………夏目、大丈夫かな。的場さんに言い寄られてないかな…。
「…A。無理はすんじゃないよ?」
『うん。ありがとう蒼葉。』
あの人にだけは決して友人譜の事はバレないようにしなきゃ。
あの人はろくなことに使わない。それに、祓い屋に知られてしまったら、妖を裏切ってしまう。
「穂ノ目様。気をつけて参りましょう。」
『そうね。封印が解けて、結界の貼られたこの館を彷徨いってるらしいわ。』
「人間に復讐でもするつもりだろうね。安心しな。Aは私らが必ず守るから。」
この三人がいるだけで私は心強い。
この館は、もうすぐで結界が解ける。そうすれば人間は疎か、妖も危うい。
そうなる前に封印し直さないと。
「チッ。相変わらず的場は好かん!」
『まあまあ。落ち着いてね、颯魔。』
「俺は子供じゃない!」
優しく頭を撫でたら怒鳴られたけど、手を振り払わない所を見ると満更でもないのね。
さて、こんな和んでいられないわ。
封印しに行かないと。
的場さんに、その子を使われてしまわないように。
249人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
世界の髪飾り(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!私も映画見てきました!父と母と3人で行きました!普段アニメを見ない母が見てみたいって言ってくれてすごく嬉しかったです!劇場でも夏目友人帳の世界を感じることができて感動しました! (2018年10月10日 20時) (レス) id: d6ecaec723 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - はじめまして!とても読みやすくて雰囲気もとっても好きです!これからも楽しみにしています!これからの更新もお待ちしております! (2018年9月20日 14時) (レス) id: 3cecd56ad6 (このIDを非表示/違反報告)
夏目大好きヤンデレ探偵 - とても続きが気になる (2018年8月17日 22時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 支葵美乃さん» わざわざコメント、ありがとうございます。オリフラ外したと思っていたので、指摘して頂きありがとうございます! (2018年5月24日 15時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
支葵美乃 - 夏目友人帳、大好きなので読んでいてとても楽しかったです!更新、頑張って下さい!!あと、オリフラ外した方が良いと思います…。 (2018年5月24日 15時) (レス) id: 48e064e18b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍夜 | 作成日時:2018年5月23日 23時