妖の森 ページ21
カマナの案内の元で着いた場所は、とても不思議な雰囲気を放っていた。
さすが妖の森……。
「左銀は普段、どこにいるんだ?」
「それが、この森深くにある洞窟でございます。皆、恐ろしくて近づけていないのですが…。」
『とりあえず、そこに行こう。左銀と話してみたいし。』
森の奥へと進んでいると、やはり妖の気配は薄いことが分かる。
みんな怯えてるのね……。
『颯魔。颯魔が前いた森も、妖が多かったよね?』
「ああ。普段はこんなに静かなこともないな。それにやはり、森が荒れている。」
辺りを見渡せば、ところどころ木々がなぎ倒されている。
相当の暴れん坊みたいだね。左銀は。
『カマナ。あとどれくらい?』
「あと少しでございます。ここからは足場が悪いので、お気をつけください。」
さっきまで足場なんか気にしないくらいスムーズに進めていたが、ここからは岩が多くなっていた。
それにしても……左銀はなんでここを選んだのかしら……。
ただ威張り散らしたいだけなら、他の所でも良かったはずよね…。
『いっ…!』
考え事をしながら歩いていたら、体勢を崩してしまい、岩場に手をついた瞬間に昨日の傷が痛む。
「穂ノ目!大丈夫か?あまり痛むようなら、休んでてもいいからな?」
そう言って、夏目が手を差し伸べてくれた。
『ありがとう、夏目。でも大丈夫。私だって、この森を助けたいもの。』
夏目の手を握り、そう言って微笑む。
夏目の顔からは不安の色が残っていたけど、すぐにまた歩き始める。
私の手を握ったままで。
誰かにこうやって手を繋いでもらったり、支えてもらったりしたことがない私には、それに対してどう返せばいいか分からない。
けど、人の手は妖の手とはまた違い、とても暖かく、不思議と落ち着くような感覚だってことは分かった。
少しだけ嬉しい気持ちを胸に抱きながら、左銀の元へと歩を進める。
「ここでございます。」
『うわぁ…。なんか、禍々しいね…ここ……。』
「ふむ。強い妖気は感じられんな。留守か。」
「それは困りましたね……。私の嗅覚で探そうにも、臭いが分かりませんし…。」
なんて間が悪いんだろう。
とりあえず、特徴だけでもカマナに聞こう。
『ねえカマナ。左銀って、どんな感じなの?』
「額に角が二本あり、緑色の着物をお召になった、とても体格の良いお方です。」
どんな妖かは大体わかったけど、これだけ広いと探すのが大変そうだな……。
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世界の髪飾り(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!私も映画見てきました!父と母と3人で行きました!普段アニメを見ない母が見てみたいって言ってくれてすごく嬉しかったです!劇場でも夏目友人帳の世界を感じることができて感動しました! (2018年10月10日 20時) (レス) id: d6ecaec723 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - はじめまして!とても読みやすくて雰囲気もとっても好きです!これからも楽しみにしています!これからの更新もお待ちしております! (2018年9月20日 14時) (レス) id: 3cecd56ad6 (このIDを非表示/違反報告)
夏目大好きヤンデレ探偵 - とても続きが気になる (2018年8月17日 22時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 支葵美乃さん» わざわざコメント、ありがとうございます。オリフラ外したと思っていたので、指摘して頂きありがとうございます! (2018年5月24日 15時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
支葵美乃 - 夏目友人帳、大好きなので読んでいてとても楽しかったです!更新、頑張って下さい!!あと、オリフラ外した方が良いと思います…。 (2018年5月24日 15時) (レス) id: 48e064e18b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2018年5月23日 23時