穂ノ目友人譜【夏目友人帳】

妖が好きな祓い屋 ページ14

夏目達からの情報から考えるに、あの血は祓い屋の式か颯魔の血。

どちらもって可能性も捨てきれない。


それに、蒼葉のことも心配だ。だって、蒼葉がいた痕跡はどこにもないんだもの。


『夏目！名取さん！乗って！』


その声で二人とも紫水に乗る。


『紫水！急ぐよ！！』

｢はい！！皆様！しっかりお掴まり下さいね！｣


紫水の背中にしがみつくと、風のように森を駆けていく。

颯魔達が居るであろう場所に近づくにつれ、羽や血が多くなっている。


｢血の匂いが強くなってるな。おそらく、もう少しだろう。｣

『ニャンコ先生…。颯魔と蒼葉、大丈夫だよね。』

｢ふん。強い妖の気配がするな。烏の妖ものは強いと聞く。蒼葉はしぶとい。ま、大丈夫だろ。｣


そうだよね…。大丈夫。きっと…きっと……。


暫くすると、目の前に誰かが飛び出してきた。


それは、傷だらけの蒼葉だった。


『！蒼葉！！』

｢A！紫水！！ちょうど良かった！早く来ておくれ！｣


蒼葉の誘導により、颯魔がいる場所まで行く。

目に入ったのは、羽が数枚落ち動けなくなった颯魔が、祓い屋の式に攻撃されそうになっていた。

近くに祓い屋がいるってことは、あいつの指示か…！！


『くそっ……！！』

｢穂ノ目さん！駄目だ！｣


名取さんの静止の声を無視し、私は紫水の背から飛び乗り颯魔の前まで走って行く。

そして、私は颯魔の前に立ちはだかり式の攻撃を受け、周りに鮮血が散る。

その時に、面が壊れて顔があらわになった。。


｢…！穂ノ目…！｣

『…………素人の祓い屋風情が…私の家族に手を出そうなんてね……。』


死にたいの？


そう言って睨みつければ、相手は怖気付いたのか足早に逃げていった。


あんなのに仕えてる式が可哀想ね…。


『颯魔、大丈夫？動ける？』

｢…すまん。穂ノ目。俺がしっかりしていれば…。｣

『いいのいいの。颯魔、人間を傷つけるの嫌だもんね。分かってるよ。』

｢でも、穂ノ目を傷つけるやつは別だ。｣


そんな怖い顔しないで。

私は颯魔の頭を撫で、紫水達の元へ向かおうとする。


が、私はその場で崩れ落ちてしまった。

遠のいていく意識の中で、心配そうに私の名を呼ぶ夏目やみんなの声が聞こえる。



自分が危ない状況なのは分かってる。



だけど、なんだろう。妙に嬉しい。



大丈夫。起きたら一番に笑いかけてあげるから。



心配しないで……。



そして私の意識は、誰かに優しく抱えられたところで途切れたのだった。

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