着替え ページ11
あの楽しい時間とは打って変わって、最高に気分が悪くなる時間の始まりだ。
あと数時間程で会合が始まる時間。
「穂ノ目様、用意はできましたか?」
『んー。あとは着替えだけ。』
「A。無理することはないよ?今日は休んだっていいのにさ。」
『そうはいかないよ蒼葉。夏目も行くんだもん。』
そう言いながら、クローゼットを開けて着替えを出し始める。
祓い屋なんて、人の為と抜かして関係ない妖まで祓ってしまう所が気に食わない。
妖だって良い奴が沢山いるってのに。
「穂ノ目。それは前と後ろが逆だ。」
『ん?あ、ほんとだ。』
考え事をしているとすぐにドジを踏む私。ほんと嫌になるわ。
私の服装は、黒い着物の上に赤い羽織。赤い羽織には、黄色い糸で花の模様が刺繍してある。黒い着物には、赤い糸で裾に龍が刺繍されている。
ま。これは妖に作ってもらったものなんだけどね。
そして、最後の仕上げだ。
紫色の髪ゴムで髪を結い、角付きの面を付ける。
『よし。準備完了。』
「おい穂ノ目。友人譜と笛。忘れてるぞ。」
『あ。いけね。ありがと颯魔。』
危ない危ない。忘れるところだった。
着物とは不似合いだが腰にポーチを付け、そこに横笛を下げ、中には友人譜をしまう。
『今度こそ大丈夫。それじゃ行こうか。』
「紫水。今日もよろしくね。」
「はい蒼葉様。任せてください。」
外に出て鍵を掛ける。すると後ろで物凄い風が起きるが、それは紫水が元の姿に変化しただけ。
紫水は銀色の綺麗な毛並みを煌めかせ、静かにその場にしゃがんだ。
『全く。普段も銀色の髪でいいのに。なんで紫なの?』
「そちらの方が目に優しいと思いまして。」
『まあ、キラキラしないしね。』
「おい穂ノ目。たまには俺にも頼れ。俺だって烏に変化できるというのに。」
そう言って翼を広げ飛び立つ颯魔を追う形で、紫水も飛び立つ。
『はいはい。今度の移動は颯魔に頼むから。』
「本当か!」
キラキラとした目をこちらに向ける颯魔は、どこまでも幼く見える。
外見が小学生くらいってのもあるだろうけど、颯魔は何百年も生きてる。妖の中ではトップな方らしい。
「そういえば、夏目は誰と行ってるんだい?」
『名取さんだって。』
「Aは知ってるのか?名取。知らないと会えないんじゃないかい?」
『見たことはないよ。蒼葉はあるの?』
「私もない。」
駄目じゃん。とか言いながら、空を移動する。
これだけだったら最高なのに…。
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世界の髪飾り(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!私も映画見てきました!父と母と3人で行きました!普段アニメを見ない母が見てみたいって言ってくれてすごく嬉しかったです!劇場でも夏目友人帳の世界を感じることができて感動しました! (2018年10月10日 20時) (レス) id: d6ecaec723 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめ - はじめまして!とても読みやすくて雰囲気もとっても好きです!これからも楽しみにしています!これからの更新もお待ちしております! (2018年9月20日 14時) (レス) id: 3cecd56ad6 (このIDを非表示/違反報告)
夏目大好きヤンデレ探偵 - とても続きが気になる (2018年8月17日 22時) (レス) id: 6cd51c2a27 (このIDを非表示/違反報告)
藍夜(プロフ) - 支葵美乃さん» わざわざコメント、ありがとうございます。オリフラ外したと思っていたので、指摘して頂きありがとうございます! (2018年5月24日 15時) (レス) id: 4ffe17b14f (このIDを非表示/違反報告)
支葵美乃 - 夏目友人帳、大好きなので読んでいてとても楽しかったです!更新、頑張って下さい!!あと、オリフラ外した方が良いと思います…。 (2018年5月24日 15時) (レス) id: 48e064e18b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2018年5月23日 23時