第四拾弐話 ページ46
炭治郎を本部へと運ぶと、どうやらそのまま裁判を行うらしく、痛そうだが庭に拘束したままの状態で寝かせた。
その後、私は何故か御館様に呼ばれてしまったために、その場は同じ隠である後藤さんに任せて、御館様の元へと急いだ。
『御館様。何用でございましょうか。』
「ああ、A。私と一緒に来てくれるかい?」
『で、ですが御館様。私は柱でもありませんし、ましてや御館様とご一緒になど恐れ多く…』
「いいんだよ、A。私は君のことも、大切な我が子のように思っているからね。それに、炭治郎達の話をする時も、君がいた方がいいだろう?」
その言葉に、私は押黙る。
家族を亡くした私を育ててくださったのは、他でもない御館様だった。
だから御館様は、私の第二の父と言っても過言ではない人なのである。
そんな方から我が子のように思っていると言われたら、断れないじゃないか。
「手伝ってくれるかい?」
『…御意。』
私が躊躇いつつもそう答えれば、御館様は優しく微笑んでから、私の頭を撫でてくださった。
何故御館様が私を育ててくださったのかは、成長した今でもよく分からない。
負担を大きくしてしまうだけだと思い、私は鱗滝さんの元で過ごすと言ったこともあった。
だけど御館様は、結局私が鬼殺隊に入隊するまで育ててくださったのだ。
その御恩を少しでも多く返していきたいからこそ、私は隠の仕事も、鬼殺の任務も、両方をできるだけ多くこなしているつもりだ。
ただ、ずっと治ってほしいと願ってきた病だけは、あの頃よりも酷く御館様を蝕んでいる。
こうしてよく御館様のお手伝いを任されることもあるが、その度に悲しくなるのだ。
長生きしてほしいのに、どうしたってそれは叶わないということが、凄く悲しかった。
色々な思いが頭で駆け巡る中で、私は御館様の手を引きながら廊下を歩く。
庭に繋がる部屋に近づくにつれて、何やらもめているような声が聞こえてきた。
「御館様のお成です!」
そんなご息女様の声とともに、御館様の部屋へと足を踏み入れる。
「お早う皆。今日はとてもいい天気だね。空は青いのかな?顔ぶれが変わらずに半年に一度の柱合会議を迎えられたこと、嬉しく思うよ。」
御館様がそう言い終わると、未だ顔を上げていた炭治郎を実弥さんが地面へと叩きつけた。
そんなに乱暴しなくたっていいのに。
そう思いながらも御館様が座るのを手伝い、その後ろに立つ。
…厄介なことになりそうね。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時