第卅漆話 ページ41
まあしかし、これは正当防衛というか、そういう類に入るのかもしれない。
尚も炭治郎へと向かっていく猪頭の彼と、攻撃を躱していく見つつ、善逸の怪我を軽く手当してあげた。
そして清くん達を木の影にいた正一くんと再開させ、ふとまた目線を戻せば、ありえない方向へと体を曲げている彼が目に入る。
……柔らかいという域を超えている気がするのだけれど、気のせいかしら。
炭治郎の言葉を一向に聞こうともしないため、痺れを切らしたのか炭治郎がとうとう頭突きをお見舞した。
それを見て、思わず額に手を当てて顔をしかめる。だって炭治郎、石頭なんですもの。絶対に痛いわ。
そんなことを思っていたら、彼の猪の被り物が落ちて、顔が顕になった。
とても綺麗な顔立ちをしていて、女として何か少し複雑な気分になる。
そこからまたお互いに怒鳴りあいというか、少しズレた会話を繰り広げ、どの辺で止めたら良いのかと、そろそろ収集がつかなくなりつつあった。
「おいでこっぱち!!俺の名を教えてやる。嘴平伊之助だ!覚えておけ!!」
「どういう字を書くんだ!」
「字!?じっ…俺は読み書きができねぇんだよ!名前はふんどしに書いてあるけどな…」
そこまで言って、男の子__伊之助はいきなりピタリと動きを止めた。
どこかふらついているようにも見えた彼は、次の瞬間泡を吹いて倒れてしまった。
どうやら、炭治郎の頭突きをうけて脳震盪を起こしたらしい。
かく言う炭治郎はというと、案の定額には傷一つない。赤くもなっていないなんて、どれだけ硬いのだろうと少し寒気がした。
それから二人に羽織を借りて、伊之助の額を軽く手当し、その場に寝かせてから殺された人達を埋葬した。
しばらく作業を続けていれば、伊之助が勢いよく目を覚まし、勝負と怒鳴りながら善逸を追いかけ始める。
善逸が私の後ろに隠れたことにより、私達がしていることに気がついたようで、何をしているのかと問うてきた。
「埋葬だよ。伊之助も手伝ってくれ。まだ屋敷の中に殺された人がいるんだ。」
「生き物の死骸なんて、埋めて何の意味がある!やらねぇぜ、手伝わねぇぜ!!そんなことより俺と戦え!!」
……さっき手当している時に記憶が見えたけれど、微かに母親の姿も見えたけれど、この子猪に育てられたのよね。
それじゃあ知らないことが多くても当然だわ。
私がそう思っていると、炭治郎は人を怒らせるようなことをさらりと言ってのけた。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時