第卅肆話 ページ38
この血鬼術について少し考えていると、猪突猛進と叫びながら、猪の皮を被った人が日輪刀を持って襖を突き破ってきた。
……あ、この人、最終選別で一番先に出てきた子だ。
「さァ化け物!!屍を晒して、俺がより強くなるため、より高く行くための踏み台となれェ!!」
そう言って突っ込んでいく猪頭の彼。
そしてまた鳴る鼓の音に、私はてる子ちゃんをきつく抱き、回る部屋に合わせて動く。
無闇矢鱈に斬りかかるなと炭治郎が忠告するも、彼は動くのを止めようとしない。
間髪入れずに動く部屋に合わせ動いていると、こちらに向かって猪頭の子が飛んできたため、てる子ちゃんに覆い被さると、私の背をその人が踏んだ。
勢いもあったため、危うくてる子ちゃんをも下敷きにするところだったが、何とかそれを持ちこたえる。
『ちょっと、どけ…』
「人を踏みつけにするな!!」
私が文句を言うよりも先に、炭治郎が私達の上からその子を退かした。
女の子を踏むなんてどういうつもりだと怒鳴る炭治郎に対し、彼は興奮したように今度はこちらに向かってくる。
うーん、隊律違反だなあこれは。
そんな呑気なことを考えながら、炭治郎と共にその攻撃を避ける。
「俺の刀は痛いぜ!!坊ちゃんや嬢ちゃんが使うような刀じゃねぇからよォ!千切り裂くような切れ味が自慢なのさ!」
「やめるんだ!!そこに鬼がいるんだぞ!!」
そう言っても、攻撃をやめるつもりはないらしい。一つため息をついた瞬間に、鬼がまた鼓を鳴らす。
急いでその場から離れると、突然畳が獣のような爪痕を残し、裂けた。
そしてまた、部屋が回転しはじめる。
うん、だんだんわかってきた。右の鼓は右回転。左は左回転。真ん中は攻撃だ。
炭治郎もわかってきてるだろうし、あの猪の子を何とかすれば、簡単に頸は斬れるかな。
そう思っていたら、またもや部屋が変わった。
え?今、あの鬼は鼓を打っていなかったのに、なんで部屋が変わったんだ?
この屋敷には複数の鬼がいるみたいだけど、他にも同じ血鬼術を持つ鬼がいるというの?
思考を巡らせながら、怖がるてる子ちゃんの頭を優しく撫でていると、炭治郎がいきなり顔を顰めた。
…血の匂いか。
『てる子ちゃん。少しの間、目を瞑っててくれる?』
「う、うん。」
今度はてる子ちゃんをおぶさり、目を瞑ってもらいながら廊下に出る。
すると、また人が食い散らかされていた。
……早く、あの鬼を倒して埋葬してあげなきゃ。
247人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時