第零話 ページ4
この世の生きとし生けるもの全てに、記憶というものは存在している。
それは人が作り出した物も同じこと。
その場で何が起きたのか、それを物達は見ているのだ。
そしてそれは、全てが楽しい記憶とは限らない。
悲しい記憶は、楽しい記憶よりも前にくる。
楽しい記憶も、嬉しい記憶も、全てが悲しみに染まり見えなくなる。
だから私が見る記憶も、ほとんど悲しい記憶達ばかりだ。
悲しい記憶を持っているのは、人間や物だけじゃない。
鬼も一緒だ。
鬼だって人間だったのだもの。
鬼それぞれに、過去がある。
鬼は、虚しく悲しい生き物だ。
だから私は、どれだけ鬼が憎かろうと、後悔をしているのならば助けてやりたい。
そして願わくば、次に生まれてくる時は鬼なんかにならず、幸せに生きてほしい。
鬼殺隊として、この考えは甘いだろう。
人に理解はされないだろう。
ただそれでも、願わずにはいられない。
鬼だって人間で、幸せを望んでいたのだから。
来世の幸せを願うくらいは、してあげたい。
もしも鬼がいなかったのなら。
そう考える日も多い。
もしそうなっていたのなら、こんなに辛い世界ではなかったに違いないから。
だがそうなると、この仲間にも出会えなかった。
そう思えば、この現実から目を背けちゃいけないのだ。
だからこそ、どれだけ辛かろうが剣を振るう。人の幸せも、鬼の幸せも願いながら。
それに、鬼の全てを否定してしまっては、私は兄をも否定することになる。
鬼になった兄は、頸を落とされたあと消えるまで、泣きながらずっと私に謝っていた。
一人にしてすまないと。
守ってやれなくてすまないと。
一緒にいてやれなくてすまないと。
そんな心優しき兄のことを、蔑ろにすることはできない。
だからこそ私は、鬼にも慈悲の心を忘れない。
鬼にだって、悲しい記憶も、心もあるのだから。
そして私は、これ以上誰も失わないためにも、より強くならなきゃいけない。
育ててくださった御館様に、鱗滝さん。
柱の皆。他の隊士達。隠の皆。
守りたいものは沢山あって、私はその分強くならないと。
守りたいものは増えていく一方で、失いたくない気持ちも大きくなっていく。
もう、あんな思いはしたくないから。
誰の声も、姿も、笑顔も、全てを忘れたくはないから。
強くならないと。
弱音は吐いてられない。
そして、常に笑顔で。
私の笑顔は、母さん達が好きだと言ってくれたから。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (
レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです！煉獄さんﾝﾝﾝﾝ！！！！！！！！ (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです！無限列車編はどうなるのか…！ 煉獄さん生存ifであることを祈っています…！ (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すﾝず - めっちゃ最高！！頑張って下さい！応援しています！ (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年10月6日 13時
