第拾玖話 ページ23
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『あ、ちょっと待って!』
全てが終わり、皆が帰ろうとしている中で玄弥に声をかけた。
またキツく睨まれたけど、こんなもの実弥さんのものに比べたら可愛いものだ。
『不死川玄弥、で合ってる?』
「っ、何で、俺の名前を…!」
『いや、ちょっと記憶を見ちゃって。ごめんね。それで、少し聞きたいことがあるんだけど。
不死川実弥って、君のお兄さんだったりする?』
私がそう聞くと、玄弥は大きく目を見開いた。
やっぱり当たりだったかな。
『君のお兄さんは今、柱って言う鬼殺隊を支えている人達の一人なんだ。会うのは難しいかもしれないけど、いつか必ず会えると思う。
君がお兄さんに会えるよう、私も祈ってるね。
君の階級が上がって、また私と会うことがあったなら、私が会わせてあげるから。』
それまで、死なないでね。
なんて、初対面の相手には言えるはずもない。
でも実弥さんのためにも、死なないでほしい。
私がそう伝えると、まだイラついているのか少し舌打ちをした後に、きちんと礼を言ってくれた。
根はきっと、いい子なんだろう。
実弥さんだってそうだもの。
「兄ちゃ…兄貴は元気ですか。」
『うん。元気だよ。それと歳も近いだろうし、敬語は無しで大丈夫。
あ、あと私は東雲Aね。よろしく、玄弥。』
実弥さんが元気だと知って、少しだけ柔らかい顔になっていたのを、私は見逃さなかった。
誰だって、家族は大事だもの。
私がよろしくと言った時は、軽く舌打ちをして帰っていってしまったけれど。
少し焦りはあるようだけど、実弥さんの弟なら乗り越えられるはずだ。きっと大丈夫だろう。
去っていく玄弥の背を見つめ、御子息様達の元へと戻った。
『遅くなり申し訳ありません。参りましょうか。』
それから産屋敷邸に御子息様達を送り届け、一礼をして去ろうとした時、あの心地よい声が聞こえてきた。
「A。子供達を送り届けてくれてありがとう。少し話があるんだけれど、いいかな?」
『はい、勿論でございます。御館様。』
御館様直々にお話とは、一体なんだろうか。
そう考えながらもお部屋へと入り、御館様の前へと座る。
そして話されたことは、なんと炭治郎と禰豆子ちゃんのことについてだった。
「君にはしばらく、その兄妹の傍にいてほしいんだ。まだ妹が人を喰わないと分かったわけじゃないからね。
元々君は彼らと長期間共にいる予定だったけれど、改めて私からも頼めるかな?」
『御意。』
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時