第拾捌話 ページ22
炭治郎が最終選別へと向かって七日後、私は御館様の御息女様と御子息様の護衛兼付き添いとして、藤襲山へと来ていた。
今回は五人も生き残ったか……。これは優秀だね。
炭治郎もちゃんと生きてるし、これで一安心。鱗滝さんも喜ぶに違いない。
それにしても、一番先に出てきたあの猪頭の子、強烈だったなあ…。歳が近そうだったけど、意思疎通は出来るのかしら。
「お帰りなさいませ。」
「おめでとうございます。ご無事で何よりです。」
あ、あの蝶を指に乗せてる子、しのぶさんの継子であるカナヲだ。
最終選別に行くだなんて話、しのぶさんに聞いてたかなあ……?
私が首を傾げるのと同時に、少し怖めの男の子が口を開いた。
ん。あの子、実弥さんと同じような色をしてる。
色が似るのは、親族に多いはず。
実弥さんに弟がいるだなんて話、聞いたことがない。触れたこともないから、過去も知らないし。
もし、もし弟だったなら、合わせてあげたいなあ。実弥さんに。
御兄弟が生きているのは、とても喜ばしいことだものね。
そう一人で考えていると、鎹鴉の悲鳴とともに彼の怒鳴り声も聞こえてきた。
咄嗟に御息女様との間に入り、その拳を止める。
『拳を下ろせ。まだ話は終わっていな……』
そこまで言った時、彼の記憶が見えた。
これは……彼の小さい頃の記憶。
……この子も、家族を鬼に……。
……あれ…この顔は………。
実弥、さん?
断片的なものだからハッキリとは見えていないけど、あれは確かに実弥さんだ。
やはりこの子、実弥さんの実弟なの…?
そこまで考えたところで、反対側の手で頬を殴られた。
記憶に気を取られすぎたか。
これだから、人の記憶を見るのは嫌なのよ。
そのまま殴られた手で、隠の服の上から髪の毛を掴まれる。
「刀だよ刀!!今すぐ刀をよこせ!!鬼殺隊の刀!!"色変わりの刀"!!」
『何をそこまで焦っているのか知らないけど、そんなに焦っていては』
そこまで言った時、炭治郎が彼___不死川玄弥の腕を掴んだ。
「この子から手を放せ!!放さないなら折る!!」
「ああ?なんだテメェは。やってみろよ!!」
次の瞬間、玄弥の骨が嫌な音を立てた。
た、炭治郎……何も本当に折ることは無いでしょ……。
おかげで私の髪の毛は放してもらえたが、玄弥が不憫でならない。
「お話は済みましたか?」
そう御子息様が仰ったことにより、脱線していた話は戻り、それぞれが玉鋼を選んだのだった。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時