第拾漆話 ページ21
手を祈るようにして握っていたら、周りにあの鬼に殺された他の子供たちが現れた。
ふと錆兎の方を見やると、どこか安心したような雰囲気が漂っている。
『…錆兎。』
｢ああ。勝ったぞ、炭治郎が。｣
そう言った錆兎は、狐のお面の下で笑っているような気がした。
あまりにも嬉しくて、近くにいた真菰に抱きついた後、岩の上に登って錆兎にも抱きついた。
良かった。良かったよ。本当に良かった。
炭治郎が死んでしまっていたら、きっと私は自分を責めた。
だって炭治郎をここへと導いたのは、私だから。
そして、あの鬼を私の最終選別の時に殺せなかったからだと、そう思っただろうな。
一人喜びを噛み締めていると、錆兎が静かに声をかけてきた。
｢A。これからも色々と、お前にとって辛いことが起こると思う。だがそれでも、男なら、剣士なら、黙って耐えて、前に進め。｣
｢Aなら、これからもまだまだ強くなれるよ。でも、無理はしないでね。それと、たまには帰ってきてあげてね、鱗滝さんの所に。｣
『うん。分かった。私、二人みたいに強くなれるよう、頑張るからね！』
私がそう言って微笑むと、周りにいた子供たちは次第に消えていき、残すは錆兎と真菰だけに。
｢A。｣
錆兎に呼ばれたかと思えば、私の頭の上に手を乗せて、静かに撫でてくれた。
｢義勇のこと、よろしく頼む。｣
一際優しい声でそう告げた錆兎は、岩から飛び降りて消えてしまった。
それに続くようにして、真菰も私に手を振りながら消えた。
成仏をしたのか、ただ単に姿を消しただけなのかはわからないけど、きっともう、錆兎達と会うことはなくなるのだろうと、そんな気がしてしまった。
『…任せてね、錆兎。真菰。』
義勇さんはただ、心に蓋をしているだけなんだ。
義勇さんだって頑張って柱にまでなったのに、それを自分自身が認めていないんだもの。
柱になる資格などないだなんて、誰がそんなこと言うものか。
そんなことを義勇さんが思ってるだなんて錆兎に知れたら、きっと怒りに怒って友達を辞めると言い出すかもしれない。
そうならないためにも、ちゃんと支えてあげなきゃ。
私の、兄弟子でもあるのだから。
それから鱗滝さんの家へと帰り、そっと禰豆子ちゃんの枕元へと行き、手をとった。
『禰豆子ちゃん。大丈夫。大丈夫だよ。君のお兄ちゃんは強いね。凄いね。』
だからさ、早く目を覚ましてね。
炭治郎を出迎えてあげよう、禰豆子ちゃん。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (
レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです！煉獄さんﾝﾝﾝﾝ！！！！！！！！ (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです！無限列車編はどうなるのか…！ 煉獄さん生存ifであることを祈っています…！ (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すﾝず - めっちゃ最高！！頑張って下さい！応援しています！ (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年10月6日 13時
