第拾肆話 ページ18
それにしても、この鬼は馬鹿なのかしら。
普通なら、私が鬼狩りだと分かるはずなのに。
『あなた、相当お馬鹿さんなのね。私は鬼殺隊よ。そんなことも分からないだなんて、あなたは余程弱いのね。』
「はっ!知ったことかよ。殺して食っちまえばこっちのもんだ。俺を甘く見てると、痛い目見るぜえ……。」
そう言いながら、鬼はすっと姿を消した。
そっくりそのままその言葉を返してあげたいわ。私はこう見えて結構強いのよ。
それに、完全に姿を消したつもりなのかしら?
背後から迫ってくる鬼の爪を、ひらりと躱す。
いくら血鬼術と言えど、私には微かに残る色でどこにいるかが分かる。
だから、ほぼ無意味と言っても過言ではない。
何度も何度も同じような攻撃をしてくる鬼。
攻撃が通じず、焦っているのかしら。
また背後から来る攻撃を避けた瞬間に、体をひねり日輪刀に手をかける。
『氷の呼吸 壱ノ型 氷雪斬り。』
斬ると同時に鬼の姿が現れ、頸がぼとりと地面に落ちる。
私に対し恨み言を吐きながら消えていく鬼を見届け、すっかり跡形もなくなったその道に、静かに手を合わせる。
来世では鬼にならず、幸せになってください。
それから宿屋に戻り、お風呂に入ってから眠りに着いた。
翌日、村は少し騒がしかった。
どうしたのだろうと思い、宿屋を出て昨日の小物屋さんへと足を運ぶ。
『あの、今日は騒がしいみたいですけど、何かあったのですか?』
「ああ、昨日のお嬢ちゃん。それがね、毎晩子供が攫われていたのに、今日は誰もいなくなってないんだ。だから皆嬉しくてねぇ。」
そう嬉しそうに笑う店主を見て、思わず私も笑ってしまった。
これで安心して暮らせるわね。よかった。
「お嬢ちゃん、昨日この事件を解決しに来たって言ってたね。」
『はい。しっかり解決しましたので、もう子供達が攫われることはないですよ。』
「ありがとうな。こんなに若いのにこの村を救ってくれて。」
『いえいえ。でも、夜になったらあまり外には出ないようにしてくださいね。危険ですから。』
「ああ。本当にありがとう。」
今度は目に涙を溜めながら、私に礼を言ってくれた。
私もいいんですよと言って笑いかけ、その場を去る。
その後甘味処で鱗滝さん達にお土産を買い、その村をあとにし走り出した。
どうかこの村に、幸多からんことを。
そんなことを願いながら、私は鱗滝さんの家へと真っ直ぐに帰路についた。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時