第拾壱話 ページ15
それから早いもので、炭治郎の鍛錬を開始して半年が過ぎた。
その間にも、私は隠や隊士としての任務が入ったりしたが、その都度鱗滝さんの元へと帰ってきた。
一番の問題と言えるのは、禰豆子ちゃんが目覚めないことだろうか。
鱗滝さんが医者を呼んで診せてくれたけど、異常はないらしい。
禰豆子ちゃんを見る炭治郎からは、とても悲しそうな、辛そうな色が出ていて、見ている私も心を締め付けられた。
そんな中でも、炭治郎の訓練は厳しくなっていく。
そして鍛錬を開始して一年が経った頃、遂にその日がやって来た。
「もう教えることはない。」
突然言われたその言葉に、炭治郎はどうやら困惑しているらしい。
「あとはお前次第だ。お前が、儂の教えたことを昇華できるかどうか。」
そうして山の中を進み、とある大きな岩の所までやってくる。
ああ、懐かしいなあ。ここも。
「この岩を斬れたら、"最終選別"に行くのを許可する。」
それだけを言い残し、呼び止める炭治郎を無視して、鱗滝さんはその場を去っていく。
……炭治郎からは、無理だというか、少し後ろ向きな考えをしてる色が見えるな…。
『炭治郎。これから鱗滝さんは、本当に何も教えてくれないよ。もちろん、私も教えないつもりでいる。
でもね、炭治郎。知識で覚えるだけじゃ駄目ってことは教えとくね。
これは体で覚えるしかない。
鱗滝さんの教えを体でしっかり覚えた時、この岩は斬れる。
この岩は本当に斬れるよ。だって、私も斬ったもの。』
そう言って微笑めば、炭治郎は目を丸くした。
そんなに驚くことかな?まあ見た目は普通のどこにでもいるような女の子……だし…?恐らくだけど。
まあ、今はそんなことより、だ。
『私は炭治郎を信じてるから。ちゃんと折れずに習得して、この岩斬ってね!あ、でも無理しちゃ駄目だよ?無理したら怒るから!!』
ビシッと指をさしながらそう伝えれば、少しキョトンとした後に、ふわりと笑ってありがとうと言ってくれた。
あどけなくて可愛らしいなぁ。なんか、同い歳だけど弟みたい。
ふふふ、と思わず笑ってしまい、炭治郎に不審がられてしまった。
『まあとりあえず、死ぬ気で頑張れ!!私はいつでも応援してるから!』
「ああ!ありがとう!」
それから私は山を下りる前に木の上に飛び移り、ずっとそこにいた人物に声をかけた。
『久しぶり、錆兎。真菰。炭治郎のこと、よろしく頼むね。』
「ああ。」
「うん。任せて。」
247人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時