第拾話 ページ14
一度禰豆子ちゃんを中に入れ、それから炭治郎達と山を登る。
ある程度登れば、鱗滝さんは炭治郎を振り返った。
「ここから山の麓の家まで下りてくること。今度は夜明けまで待たない。」
それだけ言うと、鱗滝さんは去っていった。
……炭治郎、鼻が利くから大丈夫だと思ってるのかな。そう簡単ではないのになあ。
『油断は禁物だよ、炭治郎。』
そう言って微笑んで見せてから、私も山を下りた。
炭治郎ならきっと、ここを突破出来るだろう。
だから落ち着いて、突破しといでね。
『ただいま戻りました。』
「ああ、お帰り。久方ぶりだな。」
『はい、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。』
先程は鱗滝さんと会話が出来なかったため、炭治郎が戻ってくるまで、禰豆子ちゃんの頭を撫でながら話に花を咲かせた。
鱗滝さんが元気で良かった。
もう少し頻繁に顔を見せに来よう。
鱗滝さん、嬉しそうな色が出てるから。
気がつけばもう夜明けは近づいていて、私の膝で眠る禰豆子ちゃんを優しく撫でながらも、少し不安になってきた。
そんな私に、禰豆子ちゃんと一緒に鱗滝さんが布団をかけてくれた時、外から物凄い音が聞こえてきた。
微かに見えるのは、炭治郎のあの暖かい色。
「も…どり、ました。」
ボロボロになって、戸を開けた途端にズルズルと崩れ落ちる。
夜明けまでに、ちゃんと帰ってきた。
「…お前を認める。竈門炭治郎。」
私は禰豆子ちゃんをそっと膝から降ろすと、炭治郎の傍まで駆け寄る。
『炭治郎、お疲れ様。怪我は大丈夫?ほら、中に入りな。』
「ありがとう…A……。」
良かった。ちゃんと帰ってきた。
私は嬉しさのあまりニコニコと笑いながら、炭治郎の傷の手当をする。
多分、すぐにでも鍛錬を始めるはずだ。
少しでも怪我を軽くしてやらないと。
「そういえば、Aは鱗滝さんを知っていたみたいだが、Aは鱗滝さんに剣を教わったのか?」
『うん。そうだよ。だけど、途中から自分のやり方に変えちゃったんだよね。そっちの方が私に合ってたみたいで。
私は氷の呼吸っていうのをつかうんだけど、それは鱗滝さんが教えてくれた、水の呼吸から派生したものなんだ。』
そうして和気あいあいと話しているうちに手当は終わり、いざ炭治郎の鱗滝さんとの鍛錬が開始した。
私も出来ることがあればお手伝いしよう。
炭治郎は習得までに、何年かかるかな。
そして、彼達には会うのかな。
あの優しい、兄弟子達に。
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masa - コスプレイヤーとして演じる程,隠がお気に入りです!闘える隠もいるはずと信じているので,この作品が大好きです!正に本編そのもの!東雲ちゃんも大好きです! (2021年1月7日 1時) (レス) id: 8a22c9168c (このIDを非表示/違反報告)
カナ - 無限列車編、楽しみです!煉獄さんンンンン!!!!!!!! (2021年1月6日 0時) (レス) id: 5eabcf99e7 (このIDを非表示/違反報告)
R_yomoya(プロフ) - めっちゃさいっこうです!無限列車編はどうなるのか…! 煉獄さん生存ifであることを祈っています…! (2021年1月5日 14時) (レス) id: 241a1cc2c3 (このIDを非表示/違反報告)
天深 - とても好きな作品でした(;_;) (2020年1月24日 16時) (レス) id: 456e47df85 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - めっちゃ最高!!頑張って下さい!応援しています! (2019年10月25日 19時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍夜 | 作成日時:2019年10月6日 13時