VS飯田 ページ6
補修タイムも終わり、次は飯田君VS私だ。
…出久痛々しかったな……。手術はちゃんと終わったのかしら……。
……心配よりも、今は目の前のことね。勝てるものも勝てないわ。
｢お互いヒーロー家出身のエリート対決だ！上条凍華 対 飯田天哉！！｣
私がヒーロー家出身って知ってる人どれくらいいるのかしらね。
そもそも、母さん達を覚えている人が同級生にいるのかしら。
『飯田君、よろしくね。手加減なしでお願いするわ。』
｢ああ！上条くんもな！｣
そうお互いに言葉を交わすと、スタートの声がかかる。
すると飯田君は一気に私の方に走ってきた。
それに向けて氷を出すと同時に、思考を巡らせる。
ふむ。彼の個性も私の
氷でエンジンを止めるのが確実ね。逃げられちゃ困るもの。
そう考えている間にも氷を避けられ、蹴りを入れられそうになる。
飯田君と私の間に氷を作り、蹴りを防ぐ。
飯田君が一旦引いたのを見計らって、私は吹雪を生み出した。
これで少しは走るのが厳しいはず。そして私は走りやすい。
そのまま間合いを詰めて、お腹を一発殴る。
体勢が崩れた瞬間、足の方に手を伸ばしエンジンを凍らせた。
そしてその氷を伸ばして飯田君の体に巻き付ける。
｢っ……！くそっ……！！｣
『飯田君。私が氷だけしか使わないって思っちゃ駄目よ。体術も心得ているの。』
｢飯田くん行動不能！上条さん準決勝進出！！｣
その声とともに、氷に触れて個性を消した。
｢君は本当に強いな。次も頑張ってくれ！｣
『ありがとう飯田君。君も十分強かったわ！』
そう言って握手を交わし、お互い退場した。
席に戻っても出久はいなくて、心配がより大きくなった。
その後に行われた芦戸ちゃんと常闇君の試合は、そのせいであまり覚えていないけど、気がついたら常闇君が勝っていた。
……ちょっと探しに行こうかな。
そう思ってふらついていたら、出久が勝己と切島君の試合を見ていた。
『出久！』
そう叫ぶと同時に、怪我に支障がないように抱きしめた。
｢ちょっ、えっ、と、凍華ちゃん！！？｣
『……心配…したんだからね…。いくら救けたかったからって、無茶しすぎよ……！！余計なお世話はヒーローの本質だけど、君のは怖いんだ…！
君がボロボロになるのは、見ていて辛いんだよ……！！』
｢凍華ちゃん…。ごめん。｣
出久は本当に申し訳なさそうに、小さくそう呟いた。
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年1月19日 23時
