残り一週間 ページ40
月日が経つのは早いもので、現在は六月最終週。
つまり、期末テストまで残すところあと一週間となっていた。
｢｢全く勉強してねー！！｣｣
上鳴君や芦戸ちゃんの嘆きと共に、クラスの至る所から不安の声が飛ぶ。
うわー。なっつかしいなこの空気。
私が高校生の時もこんなことあったなー…って今も高校生だ。何言ってんだろ、私。
そんな中、成績上位の出久達の優しい言葉達が武器となり上鳴君を襲う。
……私も勉強のこと考えとかないと…。
まあ、だいたいやったことある内容だから分かるんだけど…。
｢お二人とも。座学なら私、お力添え出来るかもしれません。上条さんの方がお力になれるでしょうけど…｣
八百万ちゃんが女神に見えたその時、その口から爆弾発言が飛び出てきた。
『いやいやいや、そんな事ないって。八百万ちゃん優しいし、絶対教え上手だよ。』
｢ですけど、順位は上条さんの方が上ですわよ？｣
『たった5点じゃん！！』
｢たった5点、されど5点ですわ！！｣
いやいやいや……元々二回目の高校生活で勉強なんか一通りわかるのに、5点しか君に差を付けられてないんだよ？
相当すごいと思うよ八百万ちゃん。
そして、八百万ちゃんの元には教えて欲しいと続々と人が集まっている。
勿論、私にもだ。
『あー…なんなら、八百万ちゃんと一緒に教えちゃおっか。いい？八百万ちゃん。』
｢いいですとも！！｣
｢あ、凍華ちゃん。私も教えて欲しいんやけど…｣
私の所には、八百万ちゃんに教えて貰う子よりも多くの子が集まってきた。
これは……不幸だ……。
『あー……なんならクラス全員家においでよ！！まとめて教えるから！！』
｢おまっ、全員って21人もいんだぞ！？入んのか！？｣
『どうせ家に一人で住んでるから大丈夫！面倒だから勝己も来てね！！』
｢誰が行くかクソが！！｣
『とか言っても来るんでしょ？知ってる！』
まくし立てるようにそう言って、一息つく。
……全員来ることに関しては全然いい。
片付け、しなきゃなぁ……。
｢え、一人で住んでるって、お前親は？｣
んぇ？
『あれ？上鳴君知らない？』
｢いや、多分俺だけじゃねえだろ。｣
やばいな……不幸だ……墓穴掘ったか…。
私の事情を知ってる子は、少し心配そうな顔をしている。勝己に関しては上鳴君を爆破しそう。
そんな光景を見ながら、私は薄く笑みを作った。
『家に来た時、教えてあげる。』
だから今は、これ以上深く聞いてこないで。
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年1月19日 23時
