立てよ ページ32
それからヒーロー殺しが個性について解答をしてくれた。
血液型か……まあ、知ったところで何もないんだけど。
三人で何とか時間稼ぎ……いや、それとも出久と轟君に二人を担がせて逃げさせるか。
私なら、いくら反応速度が速くても相手を凍らせられる。
だから＿＿
｢凍華ちゃん。｣
急に出久に呼びかけられ、出久の顔を見る。
その瞳は強い意志を宿し、優しく私を見つめていた。
｢一人で抱え込まないで。僕も轟君も、君に守られてばかりは嫌だよ。｣
『何…言って……』
｢お前、俺と緑谷の話聞いてなかったろ。顔見れば、俺達だけ逃がそうとしてることくらい分かる。
三人で守るぞ。｣
"三人で"……。
その言葉で、何故か胸の奥が熱くなった。
そうだね。君達は守る対象であるけれど、共に戦う仲間でもあった。
心でごめんと言うと同時に、横にいた出久が飛び出していく。
その背中が、かっこよくて。
成長したなぁ、なんて思いながら、轟君と共に出久を援護する。
だが、さっきよりも動きが速くなったヒーロー殺しに出久が足を斬られた。
｢止めてくれ……もう……僕は……。｣
そう言う飯田君に、私の何かが切れた。
『｢止めて欲しけりゃ立て！！！｣』
｢なりてえもんちゃんと見ろ！！｣
お互い氷を出しながら、飯田君に叫ぶ。
『君は言ったよね！？兄は規律を重んじ人を導くヒーローだって！！君は今、それになれてるか！？』
そう言うと同時に、轟君が炎でヒーロー殺しを攻撃する。私は氷で剣を作り出し、ヒーロー殺しへ向ける。
｢氷に炎。言われたことはないか？個性にかまかけ、挙動が大雑把だと。｣
『轟君！！』
轟君を後ろに引くと同時に、斬り掛かる刀に氷の剣を当てようとした時。
飯田君が、動いた。
そして、その刀をレシプロでぶっ壊し蹴りを入れる。
｢轟くんも緑谷くんも上条くんも、関係ない事で…申し訳ない………
だからもう、三人にこれ以上血を流させるわけにはいかない。｣
顔つきが変わったね。
いい顔してるよ、飯田君。
｢感化されとりつくろおうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。
お前は私欲を優先させる贋物にしかならない！"
誰かが正せねばならないんだ。｣
こいつの言うこともわかる。
だけど、それで人を殺していいことにはならないよ。ヒーロー殺し。
君も折れないだろ。飯田君。
今学んだんだから、これから変わればいい。
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年1月19日 23時
