連絡 ページ17
私が目を覚ませば、そこは見知らぬ部屋だった。
まだ少しボーッとする頭で天井を見つめていたら、部屋に誰か入ってきて顔を覗き込んできた。
それは、勝己だった。
『か、つき…。』
｢起きたんか。ってんめぇ…！！本当にいい加減にしろよ……！！｣
『……うん、ごめん…。』
ああ、このベッド、勝己のかぁ。
悪いことしたなぁ…。あの後、運んでくれたのかな。
起き上がろうとすると、それを片手で無理やり止められ、額を押さえつけられる。
｢寝てろ。表彰式終わったあとからお前、全く目ェ覚まさなかったんだからな。｣
『勝己が、運んでくれたの？』
｢他に誰が俺ん家に運ぶんだよ。｣
『ふふっ、なんか、今の勝己は優しいねぇ。』
そう言って笑えば、勝己はふいと顔を逸らしてしまった。
んー、怒らせちゃったかな。そろそろ帰らないと。邪魔になっちゃいそう。これ勝己のベッドだし。
『勝己。私なら大丈夫だから、もう帰るね。』
｢駄目に決まってんだろうが。寝とけ。｣
『あら？君ってそんな感じだったっけ？もっとこう、オラァ！って感じ？』
｢黙って寝とけってんだよクソ凍華！！｣
『ああそうそう、それそれ。』
ふざけてみても、一向に私の額を押さえつける手はどかない。
んー、どうしたものか。
｢……本当に、大丈夫なんか。｣
『うん。本当に大丈夫だよ。』
そう言えば、やっと勝己は手をどけた。
近くにあった私のカバンを手に取り、勝己の横に座る。
『私を助けてくれてありがとう。勝己のそんな不器用な優しさ、私は好きだよ。』
｢るっせぇ！黙れクソ凍華！！｣
『うーん、勝己がキレるタイミングっていくつになっても分かんないなぁ。』
｢家まで送ってやっから帰んぞ！！｣
そう言って立ち上がり、部屋を出ていく勝己。それを追って私も下に行き、光己さんに挨拶をして勝己と共に玄関を出た。
そしてしばらく無言で歩けば、家に着く。
『それじゃ、ありがとう勝己。』
｢おう。じゃあな。｣
去っていく勝己に手を振りながら、携帯に何か連絡は来てないかと、カバンに手を突っ込み携帯を探せば、紙のようなものが手に当たった。
引っ張り出してみれば、それは轟君からの手紙だった。
内容には、明日お母さんの見舞いに行くから着いてきて欲しいとの事。
謝罪もしたいからって書いてあるけど、君は悪くないよ。悪いのは私だ。
断ることはしないよ。私も君に謝りたいからね。
"無理はしなくていい"か。優しいね、轟君は。
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年1月19日 23時
