表彰式 ページ15
ああ……はっきり言ってやばい。今にも倒れてしまいそう。
でも、今はダメよ。最後まで立って、表彰式を終えなきゃ。
朦朧とする意識を必死に繋ぎ止め、前を向く。おかげでミッドナイトの言葉は全く入ってこなかった。
｢私がメダルを持ってきた｣
｢我らがヒーロー、オールマイトォ！！｣
……今のカブリは普通に聞こえてきたわ。タイミングがいいんだか悪いんだか…。
そして、オールマイトはどんどんメダルを渡していく。
暴れてはいないものの、勝己が全くメダルを貰おうとしなくて時間が過ぎる。
早く受け取れよ……もうこちとら意識飛びそうなのに…。
結局、傷として口にメダルをはめられる。
やっと終わった…。
｢さて、上条少女。おめでとう！君はやっぱり強いな。それに、見ていて圧倒される戦いぶりだった。
だが、途中から攻撃が荒くなったのはワケがあるのかい？｣
『……ええ、まあ。轟君とやってる時、少し苛立ってしまって。ただの八つ当たりだってのは分かってるんです。
でも、自分だけ辛いだなんて思うなって思って。私、親がいるだけマシじゃないか。なんてことも考えちゃったんです。
駄目ですね、私。』
そう言ってへらりと笑えば、オールマイトは少し辛そうな顔をした後、優しく抱きしめてくれた。
｢そうか。辛かったな。たまにはそういう気持ちも、ぶちまけるのは大切だ。誤ちを分かっているなら、君は大丈夫。｣
『…ありがとう、ございます。』
私のお礼を聞いたあと、オールマイトは会場の人々に言葉を投げかけた。
｢この場の誰にも、ここに立つ可能性はあった！！ご覧いただいた通りだ！競い！高め合い！さらに先へと登っていくその姿！！
次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている！！
てな感じで最後に一言！！皆さんご唱和下さい！！せーの｣
｢お疲れ様でした！！！｣
｢プルス｣
｢プルスウル…えっ！？｣
｢そこはプルスウルトラでしょオールマイト！！｣
｢ああいや…疲れたろうなと思って……。｣
私はそんな気の抜けた言葉を聞きながら、限界をとうに越していた意識は、次第に暗闇へと落ちていく。
そうね、疲れたよ……オールマイト……。
あとはゆっくり休みたい……。
多分、またあっちに行くんだろうな。今度はもう少し、長く居られるといいんだけど……。
体に力が入らなくなり、傾き始めればそれを誰かに支えられた。その人が、何かを叫んでいる。
その必死そうな声を聞きながら、私は意識を手放した。
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作者名：藍夜 | 作成日時：2019年1月19日 23時
