第20話 ページ23
次々と襲いかかる管をかわしながら呪霊に近づく。
豪力はそのままだ。
出来るだけ早く、かたをつける。
吐血、手足の痺れ、目のかすみ。
恐らくそろそろ目眩や立ちくらみが出て、その内気絶して死に至る。
俺は剛剣を蹴って代わりに乙矢を出した。
弓矢を引いて呪霊を狙う。
ノノノノッ ノノノノッ
走りながら乙矢を使うのは初めてだ。
でも、やらないよりましだ!
ブシャッ ブシャッ
『よしっ!……グッ』
手の痺れが酷い。
もう弓も引けないか……
朱雀を呼び出すには血の濃度が足りない。
何より、毒で侵された状態の血でどこまで操れるか……
だったら後は……
一か八か、かけるしかない。
俺は呪霊に向かって一直線に突っ込んだ。
呪霊が足を振り上げる。
俺はそれを両腕を使って受けた。
メキメキメキッ
『ぐぅっ……』
凄い力だ。
地面にヒビが入る。
身体が悲鳴を上げていた。
それと同時に更に追い打ちをかけるかのごとく針がついた管が俺に毒を打ち込む。
ノロウノロウノロウノロウッ
呪霊の声が真上から降り注ぐ。
ギチギチギチ……
身体中の血が沸騰する。
両腕に切れ目が入り、血が噴き出す。
シィィィィ ネェェェェェッ
『我、呪われし血の下に、今、呪い祓わん』
俺の足元の血溜まりが湧き上がった。
『呪血……天誅!』
ズバッ
───────────────────────
『……ヒューッ……ヒューッ……』
領域から抜け出せたと言うことは、呪霊が死んだってことだ。
たぶん、どこかに宿儺の指が落ちている。
回収しないと……
俺の、ものなのに……
ちょっと調子に乗りすぎた。
でも、確実に強くなってた。
『……やっ、た……』
乾いた笑い声が漏れる。
楽しかったなぁ。
強かったけど、楽しかった。
特級呪霊を1体。
呪力吸っとけば良かった。
そうすれば、反転術式使えたのに……
でもまあ、良いか。
『……スマホ、探し、といて……』
五条「心配して来てみたら……開口一番にそれ?」
『……あと、指……俺、の……だ、から……』
五条「はいはい、わかりましたよ。スマホと宿儺の指ね。拾っとくよ。でも返す前に、Aの傷を硝子に治してもらって、それからお説教ね」
『……説……教……?……アハ、先……生、みた、い……』
五条「先生なんだよ。君のね。でもまあ、お疲れ」
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作者名:亜叶緒夜鳴 | 作成日時:2024年3月16日 22時