第19話 ページ22
ノアァァァァァァァッ
呪霊の周りに血の網目が生み出される。
1、2、3。
よし、3つ一気に作れた。
強度も上がってるはず……!
『からの……呪血・束縛!』
ギュインッ
呪血・束縛は鳥籠と同じく紬糸の強度を上げて相手を縛り付ける。
集中すれば一定の時間相手を動けなく出来るはずだが……
ザパンッ
『あー、無理か……』
五条〈A、大丈夫?僕行こうか?〉
『いや、俺は……』
ノロノロノロッ
『ぐあっ!』
呪霊の足が伸びて俺の顔面を蹴りつける。
クソッ、通話のせいで油断した!
スマホはどこかに行ってしまった。
でも、自分が蒔いた種だ。
自分で片付ける。
もっと、もっと意識を集中させないと……
俺は束縛で飛び散った血液を見つめる。
一晩で十分命中率は上がったはず……
『呪血・甲矢!』
ヒュンッ ヒュンッ ヒュンッ
無数の矢が呪霊に降り注ぐ。
すると、呪霊は両手で印を結び始めた。
そう言えば特級呪霊は領域展開が使えるんだった!
俺の周りの景色がガラリと変わる。
夜の森。
『チッ、いったいどんな……』
ブスッ
『……あ?』
俺の足に何かの管が刺さる。
『呪血・剛剣』
スパッ
何だ?
攻撃にしては弱い。
しかし、次々と俺に向かって他の管が伸びてくる。
その先には針がついていた。
『チッ、呪血・鳥籠』
鳥籠で抑えつつ、動いて動いて動きまくって空きを作る。
んで、頭を取る。
俺は剛剣を握ったまま走り出した。
『呪血・豪力』
呪血・豪力は赤血操術の技の1つを元に生み出したもの。
身体の中の血の巡りを早くして身体能力を飛躍的に上げる。
でもまだ練習中だから身体中が熱い。
でも、これなら行ける!
俺は呪霊の真上に飛び上がった。
そのまま剛剣を振り下ろす。
『……ゴフッ』
突然、目の前が血塗れになった。
何が起こったのかわからず、着地して距離を取る。
目の前を覆った血が自分の吐血だと気付くのにそう時間はかからなかった。
カランッ
手足が痺れて剛剣を落とす。
目も少し霞んできた。
呪霊の口がニヤリと笑う。
毒か!
だったら豪力は迂闊だった……
自分から毒を全身に回しただけだ。
でも、毒を食らったならそれなりの対処法もある。
カウンターをかませばいい。
ただ、まだ今じゃない。
機会を持て……
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作者名:亜叶緒夜鳴 | 作成日時:2024年3月16日 22時